静岡からペルセウス座流星群報告

福井雅之

 

西中筋天文同好会と言えば夏のペルセウス座流星群観測会。三岳から観た美しい星空とそれを次々横切る流星は今でも忘れられません。社会人になってからはお盆の帰省中に福知山実家から空を見上げて1個でも流星が見えれば程度の観測しかできていませんでした。しかし今年は新型コロナの感染再拡大により40数年続いた帰省を初めて取りやめて静岡の自宅で過ごすことになりました。(福知山踊りなど毎年のイベントは軒並み中止。早く元の日常に戻れることを願っています。)

 

初めての静岡からのペルセウス座流星群、812日の極大日は"暗い星空を求めて本格的な流星観測を"と思ったのですが、この時期遠出はしたくないので観測地は静岡県東部限定で考えました。静岡といえば富士山、以前ふたご座流星群を富士山バックに撮影した経験から、その撮影地である朝霧高原を第一候補とし、あとは当日の天気で決めることにしました。

 

そして極大日当日、全国的に曇りがちの予報のなか静岡県の南側海沿いは何とか星空が見えそうな感じ。朝霧高原は山梨県県境近くの山側に位置することから天気は微妙で富士山も見えそうにないことから断念、観測地を我家からほど近い伊豆半島中央の天城高原とすることにしました。この天城高原は11年前赤道儀のモーター駆動の記事を銀河鉄道に投稿した際にそのテスト撮影をした場所です。⇒[リンク]

 

日没前18時頃現地に到着。 先に10台くらいの車が来ていましたが数台置きに止められるくらいの"ソーシャルディスタンス"は確保できるので、北極星が見え南天が開けている場所に陣取り赤道儀・望遠鏡・カメラをセットしました。ふたご座流星群撮影での経験から @ISO感度は最高に設定 A星空の写り具合でバルブ開放時間を決める という手順でカメラを設定、以降シャッター開放時間2分のインターバル撮影を延々と繰り返しました。自宅に帰って約100枚の画像をチェックしたところ流星が写っていたのは4枚のみ。その中でペルセウス座流星群の流星と思われるのは赤道儀駆動前に試し撮りした添付1枚のみです。今回の撮影で最大の失敗は、焦点距離を広角側18mmで撮影したつもりが55mmになっていたこと。それにより想定した面積の約1/9しか撮影できていなかったことです。

 

今回観測地として選んだ天城高原は天文愛好家には知られた場所ですが普段はほとんど人が来ません。しかし今回ペルセウス座流星群極大日には、深夜になっても後から後から若い人たちがやってきて約50台の駐車場があっという間に満杯、あふれんばかりの大賑わいとなりました。これも新型コロナ禍の反動の一つかもしれませんね。

 

今回の反省から次回流星撮影に向けての作戦を考えました。作戦実行以前にいつも現地で失敗する何らかのミス(ピント合わせ/極軸合わせ/ねじ締め付け/ISO感度・絞り・シャッター速度・焦点距離などなど)撲滅が大前提なのは言うまでもありませんが。

1)孤独な観測作戦

  天体観測は落ち着いて静かに行いたいです。「一大イベント時はメジャーな観測地は避けるべき」が今回最大の教訓です。

  ⇒次回は近隣でもいいので人の来ない場所を探しておきます。

2)感度アップ作戦

  私のカメラのISO感度 は12800が限界(今回は6400で撮影)。暗い流星も撮影できる明るい光学系(カメラ・レンズ)が是非欲しいところです。

  ⇒さっそく28mm単焦点F1.8のレンズを中古で購入しました。銀塩フィルム時代のレンズなのでデジタル一眼で使うと絞りが制御できませんが開放だと何とか使えそう。(ネットによると当時の定価は3万円とのこと。今回2,800円で手に入れました。)


  

 

3)下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる作戦

  180°に拡がる星空のどこに流星が流れるかは運しだい。ともかく撮影面積を増やすことで確率を上げたいです。

  ⇒魚眼レンズという手段もありますが画像が歪むので…。中古で同じ型式のカメラをあと2台増やして計3台のカメラを赤道儀に同架、同じタイミングでインターバル撮影できるようにしたいと思っていますが実現できるかどうか。

 

今回大した成果はありませんでしたが撮影した2枚を以下に添付します。(レンズはいずれも55mmf5.6

@  唯一撮影できたはくちょう座付近のペルセウス座流星群と思われる流星。本番前テスト撮影のためガイドモーターOFFなので日周運動で星が流れています。

暗くて見えにくいのですが左端から右上に薄く写っているのが流星。(やはりf5.6では厳しいか?)

 

A  流星は写っていませんがいて座付近の銀河(露出2分インターバル撮影の一コマ)。ここに流星がいくつか流れた写真になる筈でしたが…

 

 



今号表紙に戻る