私の天文グッズコレクション(第4回 日米宇宙開発編)
 
上原 貞治
 
 4回目は、日本と米国の宇宙開発に関わるモノをご紹介します。ソ連、ロシアの物も興味があるのですが、現在、手元にないので残念ながらここでは紹介できません。
 
1.スペースペン
 まずは、アメリカの関係からです。これは、アメリカ製のボールペンで、宇宙飛行士が宇宙船中で使えるように特別に開発された物です。無重力ペンとも呼ばれ、内部から圧力を発生してどちら向きの姿勢でもインクが出やすいように工夫されています。アポロ計画で多額の開発費を費やしたスピンオフ効果としてもっとも有名なものの一つかもしれません。何兆円もかけてボールペン一つを社会に還元したのかと皮肉られることもあります。
 さて、この品は、フィッシャー製の正規品で、ワシントンDCモールのスミソニアン国立航空宇宙博物館で買った物です。スミソニアン博物館のロゴが入っています。もったいないので使っていません。フィッシャー・スペースペンは、博物館グッズに限らずいろいろな種類やデザインの物が出ていて、値段も2,000円〜10,000円といろいろのようです。日本で別のを買って書き味を試すとよいかもしれません。



 
2.スペースブランケット
 この品物も、スミソニアン国立航空宇宙博物館の別館(ワシントン、ダレス)で買った物です。アポロ月着陸船の絵がついているのは、月着陸の遮光、保温用シートの技術を使っているということなのでしょう。もちろん、スペースブランケットは人間様用で、災害時などに体温の保持のために使うためのものです。アポロのの材料はカプトンにアルミを蒸着したシートだと思いますが、これは何を使っているか知りません。6ドルで買いましたので大した材料は使っていないでしょう。宇宙空間で使うのではないので、これで十分です。
 ところで、これと同じ品は日本でもそのへんで売っています。悔しく思いましたが、値段は、日本での販売のほうが倍くらい高かったのでちょっと胸をなで下ろしました。写真には、証拠のためにスミソニアン博物館のレジ袋も載せておきます。
 


3.ギャラクティタグ
 この品は、日本でリサイクル店かバザーで買った物で、出所不明ですが、アメリカ製です。これは外出時に携行するためのタグで、太陽系を出て行った無人惑星探査機パイオニア号の銘板にあったのと同じデザインの絵が載っています。お出かけ中に不幸にして宇宙人に誘拐されて迷子になったときに、親切な宇宙人に見せれば地球に送り届けてもらえるという歌い込みのものです。おそらく1980年代に製造された物と思います。ご想像のように、これは「ジョークグッズ」で、ちゃんと保証書もついています。もし、このタグを持っていたにも関わらず、宇宙人に誘拐されて地球に帰って来られなくなった時は、このタグを会社に送り返すとタグの代金を全額返してくれるそうです。



 
4. NASDAバッジと「きぼう」ワッペンエンブレム
 以上、紹介のアメリカ宇宙開発関連品は、すべてアメリカ製で私がお金を払って買った物でした。以下、日本宇宙開発関連品は、すべて日本で無償でもらったものです。
 NASDAは宇宙開発事業団のことで、JAXA(宇宙開発機構)の前身機関の一つです。このバッジは、1995年頃、筑波宇宙センターの施設見学をしたときに、胸につけることを要請されたものだったと思います。JAXAはNASDAの時代から、いい大人にこんな物を付けさせて時代を先取りしていたのかもしれません。
 「きぼう」は国際宇宙ステーションISSの日本モジュールのことですが、このワッペンエンブレムはその打ち上げ前に宣伝に配っていた物です。現在、この紙飛行機のマークを含め、「きぼう」には特にシンボルマークと言えるような図柄は使われておらず、何らかの理由でお蔵入りになったようで、これはけっこう貴重な物かもしれません。



  
5 H-IIAロケット風船
 これも、JAXAからのもらいものです。アルミ蒸着プラスティック製の風船に空気をいれたもので、もらってからもう数年になりますが、まだ空気は抜けきっていません。さすが、JAXAの真空技術はすばらしい!? といっても、中身は空気でそんなに圧力がかかっているわけではありません。裏側には、「種子島宇宙センター」とありますが、つくばでもらったものです。いちど種子島まで飛行して帰ってきた物かどうかは知りません。JAXA筑波宇宙センターからロケット関連のものはほかにもキーホルダーなどもらいましたがなくしてしまいました。



  
6.”日本の科学衛星”デザイングッズ
 次の物は、日本の無人惑星間空間帆船「イカロス」風呂敷と、科学衛星カレンダーカードです。風呂敷の大きさを示すために、両者を同じ写真に入れました。後者は、ほぼハガキ大のサイズです。これらは博物館グッズではなく、理科系のデザイン雑貨ショップ「ささきさ」のTOKOさんよりご自作品をいただいたものです。ネットで販売されてている物で売り物をいただいたことになります。「ささきさ」さんのデザインにかかりますと、科学衛星がなぜかキリッと冷たい魅力を保ちながらも独特のかわいさがでてきます。でも、この風呂敷を外で使っても、たいていの人にはこれが無人惑星間空間帆船をデザインした物とは想像も及ばないでしょう。



  
7.日本宇宙開発年表
 これも、貴重な物で、トリに掲載させていただきます。ネット古書店「いるか書房」のご主人の上門さんからいただいた冊子です。こうなると、冊子と言うよりも立派な本です。上門さんは、古書に関係あるかないかに関わらず、古代から現代に至る天文学史を幅広く研究されています。この本は、出版社で発行されたようですが、非売品と言うことになっていますので、この古書店以外の店では手に入らないでしょう。内容は、標題通り、1955年〜1985年までの日本の宇宙開発の出来事が年ごとに歴史順に掲載されています。日本の宇宙開発が苦難を道を歩みながら成長して来たことに対する愛情の感じられる本です。



  
 

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