ふたご座流星群の動画観測

福井雅之

 

1.はじめに

 ふたご座流星群は、3大流星群の一つで毎年安定して多くの流星を見せてくれます。極大時には1時間あたり45個程度の流星を見ることができます。母天体は彗星ではなく小惑星フェートン。12月冬本番を迎えた時期ですので防寒着を着込んで万全の体制で臨みますが寒さとの戦いは否めません。それでも冬の澄んだ星空に明るい流星を見たときは心が洗われる思いがします。

 今年の極大日は1215日早朝。月のない絶好の条件です。しかし全国的に天候は芳しくなく、多くの観測会やLIVE中継は極大日前日の1314日に変更されたようです。

 6年前のふたご座流星群は、富士山すそ野にある朝霧高原で移動観測を行いました。標高815m厳寒の中、かじかんだ手でカメラ操作をした記憶があります。静止画のみの撮影ですがこの時の銀河鉄道記事も是非ご覧ください。https://seiten.mond.jp/gt55/gemmet.htm

 

2.観測機材Atom Cam2と流星自動抽出

 これまでの流星観測は、広角レンズを装着した一眼レフデジカメが一般的でした。日周運動とともに流星をとらえる固定撮影、赤道儀に同架してのガイド撮影、出来上がった写真はそれぞれ静止画になります。これらに加え、最近は動画で流星撮影される方が増えてきました。天体専用カメラではなく防犯用カメラを流用して撮影された動画をネット上で見かけます。防犯用カメラは暗い場所での撮影が必須ですので高感度センサを装備しています。これを星空に向けると肉眼で見るよりもはるかに多くの星が見えることに驚かされます。

 今回使用したカメラは、アトムテック社のATOM Cam2。最近価格が若干上がったようですがそれでも3,980円(税込み)は破格の安さです。画像は1分刻みでSDに保存され、SDの容量がいっぱいになったら古い動画から上書きするので残容量を気にすることもありません。

 

 −商品仕様(ホームページから抜粋)−

 解像度  :1920X1080(1080P)

 レンズ仕様:F1.6120°

 接続   :Wi-Fi802.11b/g/n2.4GHz

 ストレージ:MicroSDカード(8GB,16GB,32GBFAT32

 電源   :5V1A

 動作温度 :-20℃〜55

 

撮影が終わったらSDを取り出してPCで読み込んで流星が写っている動画を探します。すべての動画を目視でチェックするには撮影と同じ時間がかかりますが、これを自動で判別してくれるPythonプログラムをkin-hasegawaさんが作成され、meteor-detectという名称で公開されています。これを使えば流星が写っている動画(1秒)を抜き出して保存してくれます。大変有用なプログラムを公開いただいたことに感謝します。

 

3.観測結果

 極大日はあいにくの雨予報だったので前日1314日で観測することにしました。感度を確保するためモノクロモードに設定します。カメラを東方向の窓から外に出して20時より観測開始(といっても暖かい室内でタブレットのモニター画面を見ているだけ)。しかし全面雲に覆われて星は全く見えません。0時まで粘りましたが眠さに勝てずカメラはそのまま布団に横になってしまいました。なので、私自身は肉眼で流星を全く見ていません。

 翌朝起きてから記録された動画を確認すると1時〜4時の3時間、薄雲はあるものの全天に星が見えていました。あと1時間粘ればよかったと後悔です。でもデータは残っているので、この3時間分の動画からmeteor-detectを使って流星画像を抜き出しました。結果3時間で約70個の流星が写っているのを確認できました。極大日前日の薄雲のなかこれだけ観測できればよしとします。

 次回はペルセウス座流星群で再挑戦です。以前手に入れた28mmF1.8の広角レンズもテストしたいので静止画と動画セットで観測できればと思っています。


 

以下、今回撮影した動画ファイルの流星前後のフレーム40〜60コマを比較明合成でつないだ流星写真です。

屋外, 写真, 古い, 立つ が含まれている画像

自動的に生成された説明

屋外, 写真, 古い, 座る が含まれている画像

自動的に生成された説明

屋外, 写真, 古い, 座る が含まれている画像

自動的に生成された説明




実際の動画は、以下YouTubeからご覧ください。3時間の全動画ファイルから流星が写っている部分のみ切り出しています。

https://www.youtube.com/watch?v=o3aRNlxEtXs



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