2023年1月〜8月の天文現象の報告
 
                           上原 貞治
 
以下で、"◎>"は、昨年末に西中筋天文同好会のウェブページに出した「私が選んだ2023年の天文現象」からの引用です。●は私による観測報告です。
 
◎>C/2022 E3 ZTF彗星は、見やすい北天で1月下旬から2月初めにかけて地球に最接近します。このころ4〜5等まであかるくなると期待されます。
●2022年12月20日以来、C/2022 E3 ZTF彗星の眼視観測を続行しました。双眼鏡でいちばん明るく見えたのは、地球に最接近した1月30日の早朝で、4.7等と見積もりました。その翌夜は(写真1)やや暗くなり、2月9日には6等級になってしまいました。 
 
●国際宇宙ステーションISS を20cm反射で拡大撮影しようと思い、リモコン(電子レリーズ)付きの一眼レフの連写モードで待ち伏せをしました。今回、私として初めて拡大撮影に成功しましたので、その写真をお目にかけます(写真2)。太陽パネルや日本、ロシアなどのモジュールの基本的な構造が識別できるので、これでとりあえず満足です。次に撮るとしたら動画ですが、特に追尾の方法がありません。
 
◎>8月のペルセウス座流星群は、明け方に月が昇ってきますが、大きな影響はないでしょう。
●8月13日の早朝、福知山市観音寺で、東の空を中心に流星を見張りました。快晴ではなく、雲がところどころに出る天気でしたが、M31が肉眼で見える好条件の空でした。1時05分からの30分間、4時00分からの5分間の計35分間で、ペルセウス座群流星4個、群外の流星2個、ほかに流星か人工衛星か区別のつかない経路の短い閃光2個を見ました。最近、ペルセウス座流星群は、低調になっている感じですが、空の条件がよければそれなりには見えるものだという印象を持ちました。
 
●8月に発見された、C/2023 P1西村彗星を、8月25日早朝、双眼鏡で見ようとしましたが、光害と薄明のため、7〜8等級の彗星を住居近く(↓参照)で見るのは困難でした。それで、望遠レンズによる静止撮影で、とにかく写真を撮りました(写真3)。翌朝(26日)は、20cm反射望遠鏡で眼視で見ました。明るい中央集光も確認でき、7.3等と見積もりました。
8月27日以降は、次号に送ります。
 
 この6月に、引っ越しをしました。同じつくば市内ですが、北西に3kmほど移動しました。TXつくば駅の周りの市街地の南東の縁から北西の縁に引っ越したという感じです。その後、引っ越し作業の疲れ等もあり、天体観望らしきことはほとんどできていませんでしたが、8月後半に、福井さんから西村彗星(C/2023 P1)の出現の報を受けて、望遠鏡の設置を再開しました。この彗星のいる東側は、すぐ近くに建物付属の蛍光灯があり、相当の邪魔になります。玄関前のスペースが照明のカゲになっているので、ここに設置することにしました。向き的には、東の空がごく低空まで見え、方向によっては、高度ゼロ度以下!?(視界の障害がこちらの場所より標高が低い)の金星の出が見えました。
 また、西側の窓から見ると、夏至の前後の半年近くは夕日が森に沈むことがわかりましたので、その景色をご紹介します(写真4)。こちらはベランダがあるので、西空の彗星等の観察は東よりずっと容易だと思います。光害はどっちもどっちです。
 
 


写真1 北の窓から見上げれば、そこにC/2022 E3 ZTF彗星
2023年1月31日4時56分、露出30秒、50mmレンズ、ニコンD5300、明るさとコントラストの補正。
つくば市にて、上原貞治 撮影。
中央やや上のそのへんではいちばん明るいのが彗星です。標準レンズなのであまり 彗星っぽく写っていません。窓枠右端あたりでいちばん明るい星は、北極星です。
 


写真2 ISS国際宇宙ステーションの拡大撮影
2023年4月8日19時10分、露出1/4000秒、20cm反赤+LV20mmアイピース拡大撮影、ニコンD5300ボディ、トリミング、明るさとコントラストの補正。
つくば市にて、上原貞治 撮影。ケーブル付きリモコンでの連写のうちのシングルショット。
 


写真3 C/2023 P1 西村彗星
2023年8月25日04時16分、露出10秒、固定撮影、望遠ズーム250mm、F5.6、ニコンD5300。
明るさとコントラストの補正、色の補正。つくば市にて、上原貞治 撮影。
矢印が西村彗星。左隣の恒星は7等星。上辺にある明るい恒星は、ふたご座κ星。
 


写真4 夕日
2023年8月6日18時30分、露出1/200秒、望遠ズームf=210mm、F10、ニコンD5300。
つくば市にて、上原貞治 撮影。


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