私が選んだ2024年の天文現象
上原 貞治
今年も例年のごとく2024年のめぼしい天文現象をリストアップしてみました。
下の表を見て下さい。「時」は、おおよその時刻です。本当は、もっと正確な時刻がわかっているのですがここでは省略しています。目安だと思って下さい。実際に観測する際は、もっと詳しい予報をご自分で入手して下さい。
「種別」の意味は以下の通りです。年によってないのもあります。
ast --- 小惑星による恒星の掩蔽(恒星食)
com --- 彗星の観測好期
occ --- 月による星食
pla --- 惑星に関わる現象
S.ecl --- 日食関係
M.ecl --- 月食関係
met --- 流星群
ソースとして、おもに天文年鑑2024(誠文堂新光社)を利用しました。
天文現象は、関東地方で観測に適している現象ということで選びました。これは筆者が現在関東に住んでいるためであります。他の地方に在住の方には申し訳ありません。関西地方(実際には近畿全般)での現象の観測の可否を最終欄に示しました。◎は関西でもほぼ同様に観測できる現象、○は多少条件は異なるものの観測できる現象、×は観測できない現象を示します。
日付 |
時刻など |
種別 |
現象 |
評価 |
関西 |
〜2月 |
|
com |
62P/ ツーチンシャン1彗星 |
** |
◎ |
1月4日 |
早朝 |
met |
しぶんぎ群 |
* |
◎ |
2〜6月 |
明け方 |
com |
C/2021 S3 パンスターズ彗星 |
** |
◎ |
3月12日 |
20h |
ast |
(65)Cybeleによる食 |
** |
× |
3月25日 |
18h |
M.ecl |
半影月食 |
* |
○ |
4月 |
夕方 |
com |
12P/ポンス・ブルックス彗星 |
*** |
◎ |
5〜8月 |
|
com |
13P/オルバース彗星 |
*** |
◎ |
6月〜 |
|
pla |
土星環消失へ |
*** |
◎ |
6〜7月
|
夕方
|
com
|
C/2023 A3 /ツーチンシャン・ATLAS彗星 |
**
|
◎
|
8月10日 |
20h |
occ |
スピカの星食 |
** |
◎ |
8月12〜13日 |
深夜 |
met |
ペルセウス群 |
*** |
◎ |
8月15日 |
明け方 |
pla |
火星と木星の接近 |
** |
◎ |
9/25〜10/5
|
明け方
|
com
|
C/2023 A3 /ツーチンシャン・ATLAS彗星 |
***
|
◎
|
10月8日 |
夕方 |
met |
ジャコビニ群 |
** |
◎ |
10/11〜12月
|
夕方
|
com
|
C/2023 A3 /ツーチンシャン・ATLAS彗星 |
***
|
◎
|
12月〜 |
|
pla |
火星小接近 |
** |
◎ |
12月8日 |
18h |
occ |
土星食 |
*** |
○ |
12月14日 |
2h |
occ |
プレアデスの食 |
* |
◎ |
12月14日 |
|
met |
ふたご群 |
** |
◎ |
12月25日 |
3h |
occ |
スピカの食 |
* |
◎ |
それでは、**以上のものの一部について、状況を予想してみましょう。
今年は、日月食がないかわりに、明るい彗星が多いという特異な年です。
●C/2021 S3 パンスターズ彗星は、3月に8〜9等くらいまで明るくなると期待されます。
●12P/ポンス・ブルックス彗星は、海王星族の大物周期彗星で、4月に3〜4等まで明るくなると期待されますが、夕方の西空低空であまり条件はよくありません。
●13P/オルバース彗星も海王星族の大物周期彗星で、こちらも、7月に夕方の西空で、7等まで明るくなるとみられます。
●土星環が真横位置に来て消失するのは、来年ですが、今シーズンすでに環は相当細く見えるようになっていて、しかも、太陽光の日当たりが悪くなっているので、明るさが暗くなるのが追えると思います。
●C/2023 A3 ツーチンシャン・ATLAS彗星は、大きな彗星で長い間観望できます。特に、10月には太陽の近くで、0等級まで明るくなると期待されています。
●8月10日のスピカの食は、やや低空にはなりますが、観測しやすい時刻と月齢で問題なく楽しめるでしょう。
●ペルセウス座流星群は、上弦の月がありますが、月が低くなった深夜から観測を始めれば大きな支障はないでしょう。
●ジャコビニ群は、半年後の2025年3月に母彗星が帰ってくるので、10月8日宵の時間帯は一応要注意ですが、日本で大出現が期待できるわけではありません。1972年、1998年、に続く26年後ですので、個人的にはジンクス的な予想外れを期待しています。
●12月8日の土星食は、京都府北部を北限界線が通っています。福知山市付近では、ところによっては、土星本体あるいは環の一部が月に隠れ、一部は隠れないことが起こります。