私が選んだ2015年の天文現象
          上原 貞治
 
 今年も例年のように2015年のめぼしい天文現象をリストアップしてみました。
 下の表を見て下さい。「時」は、おおよその時刻で一部でいわゆる30時制を採用しています。つまり、24時より大きい数値は翌日の早 朝を意味しています。本当は、もっと正確な時刻がわかっているのですがここでは省略しています。目安だと思って下さい。実際に観測する際は、 もっと詳しい予報を自分で入手して下さい。
 
「種別」の意味は以下の通りです。
 
ast --- 小惑星による恒星の掩蔽(恒星食)
com --- 彗星の観測好期
occ --- 月による星食
pla --- 惑星(小惑星)に関わる現象
M.ecl ---  月食
met --- 流星群
Jsat --- 木星の衛星同士の食現象
 
 Jsatは、木星のガリレオ衛星が相互に隠し合ったり(O・掩蔽)、衛星が作った影に他の衛星が入る現象(E・食)を指します。数字 は衛星番号、Pは部分、Tは皆既、Aは金環、本は本影による現象を意味します。
 
 このリストの製作には、小惑星による恒星の掩蔽については、佐藤勲氏による初期予報(掲載予定です)、その他の現象については天文年 鑑2015(誠文堂新光社)などを利用しました。 
 
 天文現象は、関東地方で観測に適している現象ということで選びました。これは筆者が現在関東に住んでいるためであります。他の地方に 在住の方には申し訳ありません。関西地方(実際には近畿全般)での現象の観測の可否を最終欄に示しました。◎は関西でもほぼ同様に観測できる 現象、○は多少条件は異なるものの観測できる可能性のある現象、×は観測できない現象を示します。

月/日 種別 現象 評価 関西
1月〜2月 com C/2014 Q2 ラブジョイ彗星 ***
1 月4日 met しぶんぎ群 **
1月8〜13日 夕方 pla 水星と金星の接近 **
1 月17日 29 ast (154)Berta *
1 月25日 3 Jsat 4E1A本 **
1 月26日 30 ast (1731)Smuts *
2 月3日 26 ast (959)Arne ** ×
2 月3日 3 Jsat 3E1P本 *
2 月9日 19 Jsat 3O2T **
2 月11日 19 Jsat 2O1P, 2E1A本 **
2 月11日 22 Jsat 4O3P, 4E3A本 **
2 月18日 22 Jsat 2O1P, 2E1A本 **
2 月26日 0 Jsat 2O1A, 2E1A本 **
3 月2日 27 ast (114)Kassandra *
3 月5日 2 Jsat 2O1A, 2E1A本 **
3 月12日 25 ast (1456)Saldana *
3 月17日 1 Jsat 1E2P本 **
4 月3日 19 Jsat 1E2A本 **
4 月4日 19 M.ecl 皆既月食 ***
4 月10日 21 Jsat 1E2A本 **
4 月17日 23 Jsat 1E2A本 **
4 月18日 0 Jsat 4O2P *
5 月12日 19 Jsat 1E2P本 *
6月上旬〜中旬 明け方 com C/2014 Q1 PANSTARRS彗星 **
7 月1日 夕方 pla 金星と木星の接近 ***
7 月13日 20 ast (3976)Lise *
7 月22日 23 ast (51)Nemausa **
8月12〜14日 夜半 met ペルセウス群 ***
8 月15日 20 ast (1569)Evita *
8 月23日 21 ast (1510)Charlois *
8 月29日 26 ast (698)Esnestina * ×
9 月12日 20 ast (60)Echo * ×
10 月2日 21 occ アルデバラン食 **
10 月7日 27 ast (36)Atalante *
10 月9日 21 ast (266)Aline ** ×
10 月19日 4 occ 火星による恒星食 ***
10月22日ごろ 夜半 met オリオン群 **
10 月26日 明け方 pla 金星と木星の接近 **
10 月29日 25 ast (842)Kerstin * ×
11 月18日 明け方 met しし群 **
11月下旬〜12月 明け方 com 2013 US10 カタリナ彗星 ***
11 月26日 18 occ アルデバラン食 **
12 月2日 29 ast (2868)Upupa *
12 月15日 明け方、夕方 met ふたご群 **
12 月31日 25 ast (654)Zelinda * ×
 
 では、評価の*印の2個以上のものをいくつかかいつまんで詳細を紹介しましょう。
 
●C/2014 Q2ラブジョイ彗星は、2014年末にすでに6等まで明るくなっており、観測好機の状況で年を越しました。
 
● 今年の5月までは、木星の衛星同士の食現象が続きます。掩蔽と食がセットで起こる現象が多いです。2月11日には立て続けの現象で すべてのガリレオ衛星が関わってきます。
 
● 4月4日の皆既月食は、昨年10月8日の皆既月食と同様、月が昇ってまもなくかけ始める絶好の条件です。皆既食の時間は12分ほど しなく、皆既中もあまり月は暗くならないものと予想されます。
 
●C/2014 Q1 パンスターズ彗星は、6月に明け方の東の低空に6等程度で少し見える程度で、ちゃんと見えるかどうかは、その時の明るさによるところが大きいでしょう。
 
●7月1日の夕方には、西の空で金星と木星が接近します。
 
● ペルセウス座流星群は、8月13日の15時が極大の予報になっています。14日が新月なので月の影響はありません。
 
● 10月9日の小惑星(266)Alineによる恒星食は、関東、東海地方では、今年最良条件のものですが、10.6等と恒星が少し暗いです。小惑星は12等星です。残念ながら、近畿地方の中北部で掩蔽が見られる可能性は低いです。
 
● 10月19日の火星による恒星食は、火星本体が5等星を背後に2分ほど隠すという現象です。多少、珍しい種類の現象なので、恒星が どのくらいはっきりと見えるか興味があります。
 
● 条件のよいアルデバランの食が2度ありますが、月が明るいので、双眼鏡などがあったほうがよいでしょう。
 
● 2013 US10 カタリナ彗星は、12月になると明け方のまずまずの高度で5等くらいで見えると期待されます。