私が選んだ2014年の天文現象
上原 貞治
 
 恒例のごとく、2014年のめぼしい天文現象をリストアップしてみました。
 下の表を見て下さい。「時」は、おおよその時刻で一部でいわゆる30時制を採用しています。つまり、24時より大きい数値は翌日の早朝を意味しています。本当は、もっと正確な時刻がわかっているのですがここでは省略しています。目安だと思って下さい。実際に観測する際は、もっと詳しい予報を自分で入手して下さい。
 
「種別」の意味は以下の通りです。
 
ast --- 小惑星による恒星の掩蔽(恒星食)
com --- 彗星の観測好期
occ --- 月による星食
pla --- 惑星(小惑星)に関わる現象
M.ecl ---  月食
met --- 流星群
Jsat --- 木星の衛星同士の食現象
 
 Jsatは、木星のガリレオ衛星が相互に隠し合ったり(O・掩蔽)、衛星が作った影に他の衛星が入る現象(E・食)を指します。数字は衛星番号、Pは部分、Tは皆既、Aは金環、本は本影による現象を意味します。
 
 このリストの製作には、小惑星による恒星の掩蔽については、佐藤勲氏による初期予報、その他の現象については天文年鑑2014(誠文堂新光社)などを利用しました。 
 
 天文現象は、関東地方で観測に適している現象ということで選びました。これは筆者が現在関東に住んでいるためであります。他の地方に在住の方には申し訳ありません。関西地方(実際には近畿全般)での現象の観測の可否を最終欄に示しました。◎は関西でもほぼ同様に観測できる現象、○は多少条件は異なるものの観測できる可能性のある現象、×は観測できない現象を示します。
 
月/日 種別 現象 評価 関西
1月4日 met しぶんぎ群 **
1月7日 21 ast (983)Gunila ** ×
1月17日 20 ast (137)Miliboea *
1月22日 19 ast (282)Clorinde * ×
1月30日 26 ast (4063)Euforbo ** ×
2月19日 22 ast (1194)Aletta ** ×
4月 夜  pla 火星接近 **
4月〜7月 夕方 com C/2012 K1 パンスターズ彗星(前半) **
4月4日 20 ast (1746)Brouwer * ×
4月15日 18 M.ecl (実質)部分月食 **
5月 夜  com 209P/リニア彗星 **
5月14日 19 ast (120)Lachesis **
8月5日 19 ast Tisiphone *** ×
8月12〜13日 夜半〜明方 met
 
ペルセウス群
 
**
 

 
8月18日 明方 pla 金星と木星の接近 *
9月8日 29 ast (127)Johanna **
9月28日 12 occ 土星食 *
9月〜10月 明方 com C/2012 K1 パンスターズ彗星(後半) **
10月 
 
夕方
 
com
 
C/2013 A1 サイディング・スプリング彗星 *
 

 
10月8日 18 M.ecl 皆既月食 ***
10月8日 19 ast (230)Athamantis *
10月17日 19 ast (747)Winchester **
10月24日 26 ast (1308)Halleria **
11月4日 28 ast (567)Eleutheria **
10月31日 23 Jsat J4E3P-本 **
11月23日 1 Jsat J3O1T **
11月30日 4 Jsat J3O1T **
12月2日 22 ast (1070)Tunica **
12月14日 met ふたご群 **
12月15日 3 Jsat J3O1T **
12月17日 0 Jsat J2O1A **
12月24日 27 ast (124)Alkeste **
 
 
 では、評価の*印の2個以上のものをいくつかかいつまんで詳細を紹介しましょう。
 
● 4月の火星接近は、中程度の接近です。
 
● パンスターズ彗星は、4月〜6月にかけて見やすい位置にあり、6月末に7等まで明るくなると予想されています。7〜8月は、太陽に近づいていったん見えなくなりますが、9月〜10月はまた明け方に見えるようになります。5〜6等になると期待されます。
 
● ペルセウス座流星群は、13日の9時が極大の予報になっており、満月を過ぎたばかりの月があって、条件は悪いです。
 
● 9月28日の土星食は、昼間の現象で、望遠鏡を使っても土星は見にくいですが、昼間に土星を見てみる良い機会かもしれません。
 
● 10月8日の皆既月食は、19〜20時台に皆既になるという今年もっとも観測に適した現象と言えるでしょう。
 
● 10月17日には、小惑星(747)Winchesterが11等の恒星を掩蔽します。予想される掩蔽帯は、本州の中緯度を縦断しています。
 
● 木星の衛星相互の現象では、12月15日のガニメデによるイオの掩蔽、12月17日のエウロパのイオ面経過などが減光量が大きい現象です。