2022年5月〜12月の天文現象の報告
 
                           上原 貞治
 
以下で、"◎>"は、2022年年頭に西中筋天文同好会のウェブページに出した「私が選んだ2022年の天文現象」からの引用です。●は私による観測報告です。
 
◎>C/2017 K2 PANSTARRS彗星は、4月ごろに予想光度が8等台に入り、それから、夏・秋に向けて、見やすい夏の星座の位置で5〜6等まで増光するとみられています。10月以降がこの彗星にとって太陽に近づく最盛期となりますが、日本からは南に低くなり、観測は徐々に困難となります。
●この夏、条件のよい方向で地球に接近したC/2017 K2 パンスターズ彗星を6月に観測しました。9等で期待したほどの明るさではありませんでした。7月〜8月まで追跡するつもりでしたが、あまり天候に恵まれませんでした。
 
◎>8月のペルセウス座流星群は、満月の夜に当たるので、月明の避けようがないでしょう。
●満月の夜だったので、普通ならパスするところですが、本年は西中筋天文同好会の最初の観測会から50年目の記念日だったので、(流星群としては正確には51年目ですね)観音寺で夜中に外に出て見ました。月が明るい割には、星はそこそこ見えましたが、流星は20分ほどで1個しか現れませんでした。50年を経て銀河鉄道に報告できたということで、よしとしましょう。
 
◎> 11月8日の皆既月食は、夕方の時間帯に始まり、皆既の時間も十分長く、これだけでも好条件の皆既月食ですが、合わせて皆既中に、天王星の星食が起こります。天王星は、月よりもずっと表面輝度が小さいので、普段は月と一緒に眺めるのは困難ですが、今回は、皆既中、あるいは、月食で欠けている部分の近くでの現象になり、望遠鏡を使えば、好条件で、楽に月の近くの天王星が見られるものと予想します。
●つくばで晴天に恵まれ、皆既月食も天王星の潜入もよく見えました。天王星は、皆既中に月から離れている時は、ファインダーで見えましたが、潜入時刻が近づくと視認は苦しかったです。今回は、天王星の潜入を望遠鏡で拡大撮影することに専念しました。その成果が今号の表紙です。カメラのファインダーからは天王星は楽に見え、ピント合わせもできました。ただ、皆既中の月面を写すために露出時間が長めになったため、ブレが起こり、この点で失敗でした。
 
◎>12月のふたご座流星群は、やはり月の条件が悪く、観測しづらい状況です。14日は月が昇ってくる前の22時頃までに観測するのが適切と思います。
●12月14日の20時前後に断続的に実質合計約30分間、つくば市から南東の空を中心に観察しました。3個の群流星をみました。輻射点がまだ低かったのでこんなものでまずまずでしょう。1個は低空にも関わらずマイナス等級でした。ふたご群では珍しいほど明るい流星が見られたのでちょっと驚きました。
 
● C/2022 E3 ZTF彗星が明るくなっているというので、12月20日早朝に観測しました。8等と見積もりました。短いですが眼視で3’程度の尾が見えました。望遠レンズで写真を撮りました。(下の写真1)
 
●5月に観音寺に帰郷した時に、近所の親戚の人から、近所で「きぼう(国際宇宙ステーションISS)」を見るというのが流行っていると聞き、たまたま観察に適したチャンスがあったのでいっしょに見ました。それで、つくばに帰ってきてから話のタネに、20cm反赤+エクステンダー(f=1500mm)の直焦点で撮影をしてみました。1回目はまぐれ当たりで、ISSの形がなんとなく写ったのですが、2回目以降は枠内に捉えられなかったり、ピンボケだったりでうまくいきませんでした。やっと、12月になってから最終的に改善されたのが下の写真2です。基本的に、手動で追跡してヤッとシャッターを切るしかなく、写野に捕らえるのさえ難しく、質の改善のメドが立たない状態にあります。
 



写真1 C/2022 E3 ZTF彗星(白矢印)(オレンジ矢印は、変光星かんむり座R星)
2022年12月20日5時23分、露出15秒、望遠ズーム、F5.8、、ニコンD5300、自動追尾。
つくば市にて、上原貞治 撮影
 



写真2 ISS国際宇宙ステーション
2022年12月8日17時28分、露出1/4000秒、20cm反赤+f=1500mmエクステンダー直焦点、ニコンD5300 ボディ、自動追尾。つくば市にて、上原貞治 撮影。
2コマでISSを見る角度が違うので立体視できないかと提案しましたら、福井さんが横に並べてくださいました。立体視できるでしょうか!?

今号表紙に戻る