私の天文グッズコレクション(第13回 補遺編I)
 
上原 貞治
 
 コレクターでも物持ちでもないのに異例の長期に渡っている本連載ですが、そろそろネタが尽きてきましたので、補遺編を2回ほどやって終わりにしたいと思います。補遺というのは、これまでのジャンルで取り上げられなかったもの、漏れがあったもの、連載開始後に入手したものを集めたということです。これらをノンジャンルで取り上げていきますので、いきおいささいな物が混じってくるかもしれませんが、それも趣向としてご容赦ください。
 
1.フィルムカメラ・一眼レフ ニコンF-601
 補遺編といっても雑多の寄せ集めではくやしいので、多少はインパクトのあるものから始めましょう。特に天文グッズといういうわけではなく、35mmフィルムカメラとして当時よく売れたニコンの一眼レフF-601です。この機種が発売された1990年に新品で買った物です。デジカメは当時はまだなかったですね。あったとしても写真家が買おうというものではありませんでした。それまでは、天体写真用には、西中筋天文同好会発足当時から20年近く使っていたニコマートを使っていましたので、これが2台目の一眼レフとなりました。オート露出、オートフォーカスのミニマムの機能で、ニコマートの後継に適したものですが、天体写真はバルブ撮影ができればよいので、これで十分でした。今でも使えます。もうフィルムの処理をする気がないので、2012年の日食を最後に使っていません。
 
 フィルム押さえ板についている小さな長方形の穴は、日付をフィルムに写し込むからくりです。ニコンがこんなものをつけるとは世もサバけてきたと当時感じたものです。



 
2.『惑星ガイドブック1・2』、『星雲・星団ガイドブック』 (誠文堂新光社)
 懐かしいでしょう。こういうスタンダードな天文書は、いつでも手元にほしい物です。ネット情報もいいですが、やはり専門家が売り物としてまとめた本は、充実度が違います。あまりに普通な天文書なので、これまで取り上げる機会がありませんでした。
 「惑星」は、確か20年ほど前に、当会のKT氏から寄贈を受けた物で、図書館の放出品のようです。(ありがとうございました)。ともに、1981年の初版です(さすが図書館!)。月惑星研究会の編集となっています。堀口令一氏、平林勇氏など懐かしい方が多いです。佐藤健氏は昨年お亡くなりになりました。「星雲・星団」のほうは、藤井旭氏の著で、この本がまだ販売中だった1980年代に通常の目的で買った物です(初版発行は1978年)。望遠鏡で天体を探すのに向いているので、今でも使っています。天文学は進歩していきますが、惑星や星雲を小望遠鏡で見る限りは、このような冊子の解説で事情は変わらず、十分な気がします。



 
3.JAXAロケット手袋
 大胆なデザインの作業用手袋、つまり軍手です。ロケットや人工衛星の組み立て作業に使われているものかどうかは・・・知りません。でも、本家のJAXAつくば宇宙センターが提供する本物です。左右でデザインが全然違います。右手の爪に当たる部分のロケットのデザインが秀逸です。色違いで2種類。使うのはもったいないですが、こういうので家の周りの草むしりをするのが、優雅な生活というものなんでしょうねぇ。

 
4.人工衛星マグネットクリップ 
 これはなんと呼ぶのが正しいのか、正しい使い方もわかりません。マグネットクリップというと、金属製の結構分厚い書類の束をガチッとつかんでボードや冷蔵庫を貼り付ける物だと思いますが、これでは紙1枚ペン1本くらいしか止められません。我が家では鉛筆保管用に使っています。陸域観測技術衛星「だいち」は2006年に打ち上げられましたので、それ以前に作られた物と思います。JAXA関連でもらった物と思いますが、提供はRESTEC(リモート・センシング技術センター)です。当時としては斬新なデザインのクリップだったのかもしれません。

 
5.南半球用天文観察ガイドブック(Collins社)
 古本ではなく、比較的最近発行された天文書を2冊ほどご紹介しましょう。これは、なんと、今年(2019年)用のものです。内容は、各月の星座の観察が主になっています。ただし、南半球用です。出版社は英国ですが、オーストラリアのお土産としてもらったものです。日本にいる限りは役に立ちませんし、南半球に行く予定もありませんので、見るだけなんですが、これを見ていると頭がふらふらして来ます。たとえば、下の写真の三日月図は、夕方の西空の三日月なんですよね。もちろん、南半球でも月は西に沈みます。具合が悪くなってきませんか。渡り鳥では、天体の位置を頼りに南北半球をまたぐやつもあるそうですが大丈夫なんでしょうか。2019年版でも、今年の天文現象を重点的に記載しているものではないので、南半球に行けば来年以降も星座ガイドとして十分使えるはずです。なお、著者の一人Tirion氏は、本格星図の大著『ウラノメトリア2000.0』の著者と同一人物と思います。




南半球のオーストラリア、ニュージーランドあたりで見た、2019年6月上旬夕方西空の月と惑星・恒星の見え方
 
6.ルーチカ天体観測図鑑
 これも比較的最近、2015年に出版された天文書の初版です。理系デザイングッズの「ルーチカ」の商品で、内容はまじめな天文書です。そもそも執筆者(書かれていないが、「ルーチカ」ユニットのデザイナー2人と推定)が天文愛好家の方なのでこのような不思議な作品になっています。芸術か科学かは問題にせず、とにかく素直に天体観察に入門していただければよいのです。本作品のウリは、内容もさることながら装丁印刷にあって、現代風の横書きの印刷ながら、何となく懐かしい昔の日本の教科書のような仕上がりになっています。こういう本で初めて天文に入門し、夜空を見始める、そんな体験をしてみたかったです。これからできる人は幸福ですね。 

 
7.星座コウモリ傘
 いろいろなデザインのコウモリ傘があり、またいろいろな用途の星座グッズがありますが、星座を描くとなるとコウモリ傘が最適ではないでしょうか。これは、通常の天文デザイングッズとして販売され購入した物です。星座が内側にのみ描かれ、外側が無地というのが気に入っています。星座は北極星が中心で、言うまでもなくグルグル回せば日周運動、これで雨の日も星空の下・・・というわけです。傘の内側のデザインは星座に限る。濡れるともったいないので使ったことはありません。

 
 
(つづく)


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