2018年5月〜12月の天文現象の報告
                          
                           上原 貞治
                               
 
以下で、"◎>"は、2018年年頭に西中筋天文同好会のウェブページに出した「私が選んだ201X年の天文現象」からの引用です。●は私による観測報告です。
 
 
◎>火星は、7月末に大接近を迎えます。観測の絶好の機会です
●今回の大接近は、接近の期間中、ずっと黄雲(砂嵐)が火星面全面を覆っていて、コントラストに欠ける私の20cmニュートン式では、大シルチス、キムメリア人などの濃い模様ですら見えるか見えないかの限界で、とても火星面を楽しむ状況ではありませんでした。それでも、南極冠とともに北極冠(ではなく霧?)を見ることができました。 
 
◎>今年のペルセウス座流星群は、13日の早朝が最高の条件で、月明もまったくありません。
●8月13日の早朝に福知山市観音寺で、ペルセウス座およびその周辺の空に30分間に6個の流星を見ました。
 
◎>21P/ジャコビニ・ツィンナー彗星は、8月の未明の空で、7等程度まで明るくなる予報が出ています。この周期彗星については望める最高の条件と言えます。
●9月になってからつくば市で8等で観測しました。この彗星は周期彗星のわりに安定して楕円形のコマが見やすいです。
 
●11月上旬、最近は珍しくなった複数の日本人アマチュアによる彗星発見(C/2008 V1 マックホルツ-藤川-岩本彗星)がありました。急遽16日と21日の明け方に観測しました。21日には8等で見やすい状況でした。そのあと数日で太陽の光芒に近づき、短期間しか観測好機はありませんでした。
 
◎>46P/ヴィルタネン彗星は、12月に地球に長期間大接近し、3等台の予報が出ています。月が細い12月10〜14日頃が観測最好期でしょう。
●11月下旬〜12月中旬のあいだ、20cm反射と10x70mm双眼鏡で、5.5〜6等と観測しました。双眼鏡では楽に見られましたが、他の観測報告にあるような4等台にはとても見えませんでした。コマの外周部が見えるかどうかで相当の見積もり差が出る状況だったのだと思います。
 
●12月14日の夜、64P/スウィフト-ゲーレルス彗星を20cmで10等で観測しました。空のコンディションはあまり良くなく、コマの集光度もほどほどだったのですが、10等の彗星が見られたということは、この彗星は比較的見やすいようです。
 
◎>12月14〜15日のふたご座流星群は、月が西に低くなってから観測すれば好条件です。
●12月14日21時〜23時頃、上記2彗星を見ながら空をチラ見し、3個のふたご群流星を見ました。いずれも明るく印象的でした。彗星に忙しく流星をじっくり待つ時間は10分くらいしか取れませんでした。
 
◎>38P/シュテファン・オテルマ彗星は、周期38年の大物周期彗星です。12月上旬に好条件で、9等くらいになります。
●上記の翌朝(12月15日)に観測を試みましたが、眼視では見えず、この時は、10等よりある程度暗かったのではないかと推測します。
 
 12月になり、冬晴れの日も多いですが、今冬はまだ透明度良好の星空には出会えていません。
 
 
写真:明け方の月の地球照
2018年9月8日03時54分
F4.8, 1/10秒、ニコンD5300、望遠ズーム(f=68mm)、手持ち撮影、トリミング
この朝は、なぜか地球照がたいへん明るく感じられました。
 
 
 


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