猪崎自治会ミニ天体観測会開催

福井雅之

 

はじめに
“福知山出て京都を越えて 駒を早めて静岡へ”
高校卒業後一度も関西に戻ることなく昨年定年退職を迎えました。これを機に少しでも実家周辺の方々になじめるよう猪崎自治会組長をお引き受けすることにしました。と言っても以前勤務していた会社の残業務を委託契約で請け負っており、現在も静岡がメイン居住地であることに変わりありませんが。
 組長と同時に引き受けた教養部長最大のイベントは年1回の人権研修。庵我地区最終日の8月3日が猪崎の開催日です。ちょうど火星大接近で盛り上がっている時期でもあり“人権研修終了後に天体観測会を実施したい”と開催2週間前の思いつきで企画に加えていただいたのが今回のミニ天体観測会です。突然の提案を快くご了解いただいた自治会長さんには感謝申し上げます。


観測会準備
今回は眼視ですので、ミザール12cm反射望遠鏡(焦点距離720mm)にOr7mmアイピースを取り付けて観測します。機材一式を愛車に積み込んで研修会1日前の8月2日に静岡より帰省しました。観測場所として自治会より事前にお願いしていただいていた公民館下の照光寺さんで事前テストを実施、観測対象の木星・土星・火星と極軸合わせの北極星が同じ位置で見えるベストポジションを探し三脚を立てる位置にマークをつけておきました。快く場所を貸していただいた照光寺さんありがとうございました。
 
望遠鏡はいつものミザール焦点距離720mm12cm反射、倍率が高くとれるようアイピースはOr7mmを使用します。長焦点アダプタでさらに焦点距離を伸ばしたかったのですがテストの結果像がぼやけたので断念、鏡筒+アイピースだけの単純組み合わせとしました。

観測会当日
8月3日の観測会当日は雲がほとんどない好条件で観測会を迎えることができました。人権研修終了後、三役皆様に用意していただいたスイカを皆さんで食べながら天文シミュレーションソフト“ステラナビゲータ”をプロジェクターに投影して観測対象惑星の事前説明を実施しました。木星は4つのガリレオ衛星と当日手前側に来る大赤班について、土星は惑星本体を取り巻く環の見え方、火星は明るいけれど砂嵐の影響で模様は期待できないかも…というような話をしました。子供会からも参加いただいたので夏休み中の天文現象として“8月12〜13日のペルセウス座流星群”“8月9日に見える国際宇宙ステーション”の紹介も行いました。
  周囲が暗くなった8:30から照光寺さんに場所を移して観測開始。西に沈みかけた金星を横目に望遠鏡を最初の観測対象である木星に向けました。はじめはどこを覗いていいのかわからず戸惑う方も多かったのですが徐々に慣れてくるにつれ衛星や木星本体の模様が見えたことに感動の声があがりました。残念ながら私の望遠鏡では大赤班の確認はできませんでしたがそれでも巨大惑星木星の迫力は十分堪能できました。続いて土星に望遠鏡を向けると木星とは一味違った環を見てもらうことができ参加者全員大変喜んでいただけました。最後は3つの惑星のなかでひときわ明るい火星、肉眼ではっきり見えることから参加者から期待の声も上がりましたが残念ながらオレンジ色に輝いて見えるだけで模様や極冠は確認できずちょっぴり残念な結果でした。
  最も人気があったのはやはり土星、参加者皆様から「ええもん見せてもろた」「もっと大勢に見てもろたらよかったなあ〜」と言っていただき、やってよかったと思いました。当日の様子と参加者に配布したパンフレットに掲載した写真と図を以下に添付します。
 
天体観測会の主催は私にとって初めての経験でした。一般の方はなかなか望遠鏡で星を見る機会がないので、こんな観測会でも十分楽しんでいただけることがわかりました。私自身も機会があればいつでもどこでも開催できる自信ができたことは大きな収穫でした。

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    観測会の風景:謎のヘルメット姿が私です

以下、当日参加者皆様に配布したパンフレットに掲載した写真・資料を紹介します。

<木星・土星・火星>
木星・土星は7月14日、火星は7月26日の撮影。いずれも静岡の自宅からです。
撮影・画像処理はいつもの“動画+ソフト処理”。約1分の動画フレームから半分の1500枚を自動合成し、ウェーブレット処理で模様を強調しています。
ミザール120SL(焦点距離720mm)+長焦点アダプタで焦点距離1440mmに拡大
カメラ:CANON EOS Kiss X4 ボディ
ISO6400 クロップ640X480で約1分の動画
PCソフトによる後処理:スタック処理⇒AutoStakkert!2 ウェーブレット処理⇒RegiStax

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     木星(714)                 土星(714)                 

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     火星(726)

<夏休み中の天文現象>
子供たちの参加もあったので、夏休み中に見ることのできる天文現象を2つ紹介しました。国際宇宙ステーションは天文現象ではありませんが…      

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<近くにある天文関連施設>
今回パンフレットに紹介するにあたって一度も行っていないのはまずいと思い、7月21日に初めて綾部市にある“天文館パオ”を訪問しました。
  1Fは様々な天文関連の展示があり、簡単なイベントができるスペースも併設されています。私が行った日は、コルキット望遠鏡の製作教室が行われており多くの親子連れでにぎわっていました。館内からエレベータで3Fに上がるとドームの入り口に到着します。毎週金・土・日の3日間は95cmはじめ反射・屈折3つの望遠鏡で様々な天体を見せてくれます。95cm反射望遠鏡で見る木星・土星はさすが大口径ならではの明るさでした。
 訪問当日、ドーム周辺の広場に5組程度のアマチュア天文愛好家が自慢の望遠鏡を持参して独自の観測を行っていました。パオに来た一般の人にも望遠鏡を覗かせてくれており、私も40歳くらいの方が持参された45cmドブソニアンで土星を見せていただきその鮮明な像に感動しました。

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  天文館パオの95cm反射望遠鏡ドーム(721日夕暮れ)



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