Google Nik Collectionによる
星雲写真の画像処理
−M42を
題材に処理方法とその効果−
福井 雅之
1.はじめに
「惑星撮影に再挑戦!」と銀河鉄道原稿に備えて物置に望遠鏡をセッティング。いつでも稼働できるようにスタンバイしていましたが、全国的な天候不良の影響で静岡県もなかなか晴れず原稿締め切日を迎えてしまいました。そこで今回は「過去に撮影した写真をより見栄えよく!」という一見手抜きテーマ?で書かせていただくことにします。
2009年12月発行の銀河鉄道31号に「赤道儀自動ガイドの自作(後編)」記事(http://seiten.mond.jp/gt31/index.htm)を掲載しました。そのとき試し撮りした写真のひとつにM42オリオン大星雲があります。モータドライブを使えるようになったことで10分間のバルブ開放撮影が簡単にできるようになり喜んでいたのですが、簡易画像処理ソフトでコントラスト補正をしても淡い部分の描写がいま一つ。私の望遠鏡の口径ではこの程度が限界かと半ばあきらめていました。
この元画像は2009年天城高原に出かけて撮影したものです。M42オリオン大星雲と最後に掲載したM31アンドロメダ銀河ともに撮影データは次の通り共通です。
撮影日/場所 |
2009年11月21日
(土)/静岡県天城高原駐車場 |
望遠鏡 |
ミザール120-SL(D=120mm、F=720mm) |
カメラ |
キヤノン EOS kiss
Digital X ボディ |
撮影方式 |
直焦点 |
ISO感度 |
800 |
露出時間 |
10分、ノイズ除去機能ON |
2.インストール&プラグイン
Nik Collectionは、ホストアプリAdobe
Photoshopにプラグインして使います。私の保有しているのはAdobe
Photoshop Elements 9という低機能で古いバージョン。これをWindows10の環境下で動くか心配だったのですが無事インストール&プラグインに成功しました。
ダウンロードページは“Nik Collection”で検索できますのでAdobe Photoshopをお持ちの方は是非お試しください。
3.実際の画像処理(M42オリオン大星雲)
Nik Collectionには7種類のアプリが搭載さ
れています。
「Analog Efex Pro」「Color Efex Pro」「Dfine」
「HDR Efex Pro」「Sharpener
Pro」「Silver Efex Pro」「Vibeza」です。
それぞれ特徴ある画像処理をしますが、特にこの中で天体写真に効果のあるのが、「Silver Efex Pro」と「Color
Efex Pro」の2つです。天文ガイドではモノクロ処理である「Silver
Efex
Pro」を中心に紹介されていましたがどちらを使っても効果絶大。色の有無など対象天体によって使い分けるのもいいかもしれません。今回は、この両方のアプリを使って画像処理を行ってみましたのでその比較を紹介します。
1)「元画像」を「Presto!ImageFolio」で処
理(銀河鉄道31号掲載)」
最初に銀河鉄道31号のときの画像を再掲載します。コントラストを強めて背景を引き締め星雲の濃淡を浮かび上がらせました。(これだけでも結構な効果あり)
図1−1.元画像(処理なし)
図
1−2.「Presto!ImageFolio」での処理(銀河鉄道31号掲載)
2)「Silver Efex Pro」
天文ガイドで“天体写真で最も威力を発揮”と紹介された「Silver
Efex Pro」。このアプリはモノクロ処理なので、後からカラー情報を合成して色を付加してやる必要がありますが、淡い部分まで鮮明に模様を描き出す効果は素晴らしいものがあります。まずモノクロ“フルダイナミック(強)”の処理で星雲の濃淡を浮かび上がらせた後、元画像との合成処理で赤色を着色します。
図2−1.「Silver Efex Pro」
フルダイナミック(強) モノクロ
図2−2.「Silver Efex Pro」元
画像を重ね色付けした後に彩度アップ(合成)
3)「Color Efex Pro」
「Silver
Efex Pro」がモノクロ処理に対して、こちらは直接カラー画像を処理するので後から合成処理の手間は不要です。特にM42のような色のついた天体にはお手軽に効果が実感できるアプリです。
使用するのは“ディテール強調”と“ダークコントラスト”この2つの各種パラメータを調整して星雲を浮かび上がらせます。
図3−1.「Color Efex Pro」での
処理
4.
まとめ
どの画像が好みかは人それぞれですが、Nik Collectionは淡い星雲を浮かび上がらせる絶大な効果があることはわかりました。このソフトを有効に使うことで今後銀河鉄道に掲載する天体写真が一段レベルアップしてくれることは間違いないと思います。まとめに変えてこのソフトを使ったM31アンドロメダ銀河を紹介します。元画像はぼやっとしていて境界の形がわかりにくかったのがこの処理ではっきりするのがお判りいただけると思います。
図
4−1.元画像(処理なし)
図4−2.「Presto!ImageFolio」での処理(銀河鉄道31号掲載)
図4−3.「Color Efex Pro」での処理
最後にNik
Collectionの全体画面の全体画面を添付します。左で使う機能を選んで右のパラメータ設定のスライドバーを動かして気に入ったところを探します。この図は「Color Efex Pro」の例で、左右の画面を比較しながら効果を実感できるところが使い勝手がいいところです。
図4−4.Nik Collectionの全体画面(左右で効果を比較ながら調整)