編集後記
 
                                発刊部  上原 貞治
 
 我らが西中筋天文同好会の会員、関係者の方々には、学校、教育関係や、技術、製造関係の企業にお勤めの方が多いと思う。今年度あたりでだいたい定年だという方もいらっしゃるであろう。私は、今年度で定年というわけではないが定年が近いことに変わりはなく、またそうなると、いまさらながらに後進にあるいは世の中に伝えたいことも出てくるように思う。
 近年、世の中がたいへん世知辛くなっていると感じる。特に、社会の制度がだいたい性悪説で動くようになってきていて目に余るものがある。たとえば、振り込み詐欺があるからといって高齢者が銀行でお金を動かしづらくなっている。そうしておいて休眠口座からは国庫がお金を召し上げるという詐欺のような話である。また、テロがあるから、共謀罪をつくって悪いことをしそうにない人までも監視しようというとんでもない企みがあり、政治家が白紙領収書の何が悪いと居直るものだから、民間企業の会社員まで書類を真面目に作らないと疑われるとか、とにかく、不心得者の存在のために、本末転倒、正直者が馬鹿を見ることが推奨されるようになってしまった感がある。もし性悪説に基づいて人を疑うならば、まず、政治家、議員、官僚などは、全員悪人であるという前提で臨むべきである。歴史的に見てもっとも悪いことをしそうだからである。正直者が馬鹿を見続けているぶんだけ、不心得者は依然としてのさばるのか、公務員の綱紀粛正で地方の状況はだいぶ改善したようだが、永田町と霞ヶ関には改善の兆しすら見られない。しかし、現代の日本人はそれを通り越して諦めているのか、最近は権力体制の批判などもあまり起こらなくなり、 私から見ると欲求不満に思うことが多い。愚痴を述べているだけではいけないので、多少は建設的な改善策を考えねばならないだろう。
 
 実は、一般社会では、真面目に仕事をしている人が大半である。性悪説などとんでもないことで、こういう真面目に仕事をしている人、一人一人の仕事を持ち上げて高く評価する社会でなくてはならないと思う。口で言うことは安くして行うには難しであるが、そのような視点でみんながお互いに働く人の仕事の価値を高め合えば、日本人の労働意欲も高まり、景気は良くなり、賃金は上がり、日々の生活の精神衛生上もいいのではなかろうか。働く人、どんな職業でも良いけれども、ここで重要なのは「よく働いた、頑張った」といってその人の粘り強い性格をねぎらうのではない。その真面目な仕事そのものの過程と結果を評価してほしいということである。日本ではみんなが当たり前の仕事が当たり前にしているということはすばらしいことではないか。それを口に出して讃えてはどうか。そうすれば、口を出すばかりで成果の挙がらない人たちとの間に歴然とした差をつけることができるだろう。
 
 一部の不心得者の対策のために国が閉塞状況になっている。対策を考えているほうが、不心得者の側だからどうしようもない。彼らはこの状況にまったく痛痒を感じていないだろう。ということで、愚痴が長くなったが、人々の仕事を讃えるという些細でそれでも建設的なアイデアを、まず、皆様方、教育関係や民間企業で活躍する方々に考えていただきたいという傲岸不遜なことを考えた次第である。
 
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 最後に当会のお知らせですが、この4月に長らく西中筋天文同好会のウェブサイトとして利用した www.d1.dion.ne.jp のページを閉鎖しました(6月までは自動転送を維持します)。この旧サイトには2000年から17年間の長きにわたってお世話になり、また、広くご愛顧をいただいたことを感謝します。 記念のため、下に、保存していた2003年当時の西中筋天文同好会トップページの縮小画像を掲げます。 今後は、seiten.mond.jpのサイトをよろしくお願いします。


 

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