編集後記
発刊部(S.U)
 
 
 はじめに、このたび(2014年8月17日)の福知山の豪雨災害に対してお見舞いを申し上げます。昨年も由良川流域で洪水がありましたが、特に今年は、会員やご関係の方々の住宅にも大きな被害が及んでおります。福知山の皆様方のところにおかれましては、どうか復旧が順調に進みますよう願っております。
 
 また、続いて起こりました広島市北部の豪雨災害にもお見舞いを申し上げます。亡くなられた方々にお悔やみを申しますとともに、行方不明の方々が一刻も早くご家族のところに戻られることを願っております。
 
 福知山はもちろんそうですが、広島も私たちの「銀河鉄道」の編集が行われていた特別な土地ですので、ともに冒頭にお見舞いを書かせていただきました。
 
 
以下は、私のごく最近の「活動」について書かせていただきます。
 
  このトシになって新しいことを始めるということはなかなかないのですが、昨年11月から「暦の会」というのにお邪魔するようになりました。通信連絡のための会費を払っているだけで、あとは案内をいただいて都合が合えば例会やイベントに参加するだけの気楽な役に立たない会員なのですが、なかなか面白いこともあり、ありがたいと思っています。
 
 私にとって、天文は小学生の時以来の趣味です。さらにそれ以前、小学校入学以前から低学年までは、「カレンダー」が趣味でした。もちろん、当時のカレンダー趣味は、天文とは何の関係もなく、壁掛けカレンダーや日めくりや農事暦、神宮暦を見て楽しんでいるだけでした。 天文が好きになったのは、高学年になって星座に興味を持つようになって以来です。それで、「暦の会」にお邪魔するのは、大昔のカレンダー趣味が復活したようで楽しいひとときでした。
 
 最近までの私の考えでは、「暦」というのは、天文学の応用あるいは天文学史の一分野という認識だったのですが、暦の会に参加して、必ずしもそうではない、暦と天文にそれほど接点は大きくない、という気がしてきました。確かに、暦学としては、太陰太陽暦、世界の古代文明の天文観測などのテーマが取り上げられるので、天文と暦は学問としては密接な関係にあるのですが、実は、こういうことを議論するのは、暦学に関係する天文計算などに関心のある人だけで、大多数の人は、「天文」と言えば、望遠鏡で星を見たり、天体写真を眺めて楽しんでいる、「暦」と言えば、江戸時代に出回った暦を解読したり、歳時記を楽しんだり、昭和時代のカレンダーを収集したり、とかなり違うようなのです。「暦の会」でも学問的な発表としては「天文学史」的な内容が多いです。しかし、楽しみとしてはあまり天文と関係のない方向を志向する方も多いようでした。天文と暦は、「文化」として捕らえると、かなり別物で1割ほどだけオーバーラップしている、とみるのが正しいかもしれません。
 
 というわけで、今年の6月25日に、「暦の会」とカレンダー会社「株式会社トーダン」さんのお世話で、茨城県阿見町にあるカレンダー工場に見学に行ってきました。阿見町は私の住んでいるつくば市のすぐそば(接してはいませんが、隣の市との境付近にJRの最寄駅の一つがあるので感覚的には隣です)なのですが、民間の工場見学はふだん出来ませんので、たいへん貴重な経験でした。製造中の2015年のカレンダーをこれでもかというほど膨大な量を見ることが出来ました。カレンダー好きの子どもには天国のような所だったと思います。
 
 トーダン茨城工場には、古いカレンダーや外国のカレンダーの収集を展示した展示室もあり、カレンダーが好きな人の思いや、カレンダーを生活に生かしたり、商売や宣伝に利用している人の工夫が伝わってきました。カレンダーは、学問的なことはさておいて、それぞれの人が、日々の生活や人生を豊かにするために、楽しむ方法を考えればいいのではないかと思いました。その意味では、小学生の時の私が正解で、大人になってからは間違った道(冗談ですけど)に入っていたのかもしれません。
 (なお、トーダンさんの展示室は工場の建物内にあって、一般に公開しているわけではありません。Web上のバーチャル博物館が、http://koyomi.todan.co.jp/にあります。工場内部の写真撮影はできませんでしたので、ご興味のある方はwebの資料写真をご覧下さい。)
 

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