編集後記
                                      発刊部(S.U)
 
 毎度ながら私事であるが、私が現在の住所の市(茨城県南部)を本拠にするようになってから、この4月でちょうど30年になる。30年も住んでいると気候の変化というようなことにも気がつくようになる。それについて、少し書いてみたい。
 
 30年間の気候の変化というのは、せいぜい10年ほどの単位の変化であるので、それは、長い間の傾向から見ればただのふらつきにすぎない。地球温暖化もそれに似た話である。地球温暖化というと、地球が滅びる日まで温度が上がり続けるように思われるかもしれないが、そんなことはない。ここ最近は、温暖化は止まっているというということなので、騒がれたのはせいぜい20年のことに過ぎない。私が茨城に住むようになった期間以下ののことである。これを地球の歴史に比べるなど、ヘソが茶を沸かす話である。短期間での上がった下がったは、いわばギャンブルのツキのようなもので、その時は深遠なメッセージがあるように感じるのだが、何年も後から思えば、たまたまの運のフラツキに一喜一憂していただけであったことが明瞭になるのである。
 
 さて、そうは言っても、茨城県南部のここ数年の天候の傾向を書いておきたい。
 雪が降る回数は増えたのではないだろうか。以前は、雪らしい雪がほとんど降らない冬も珍しいことではなかったが、ここのところは、豪雪になってしっかり積雪することがあるようになった(といっても10センチ程度)。それに、関連して、2月の天気が関東内陸の空っ風というよりは、沿岸の低気圧の影響を受けることが多くなり、2月から春のように空が湿っぽくなる傾向になる。かといって春が早く来るわけではなく、底冷えのする日が続く。今年は、桜が咲いても花冷えの日が続いた。
 星空がとても美しい日は減ったように思う。以前は、目を見張るほど夜空が澄んで美しい日があったのだが、最近は、大震災のあとの節電の半年を除けば、そういうことはあまり記憶にない。光害がひどくなったようには見えないが、砂埃等による汚染が進んでいるのかもしれない。
 星見のための好天というと、かつては「台風一過」の晴天が楽しみであった。最近は、「台風一過」がない。台風が来て過ぎることはけっこうあるが、その後がきれいに晴れず、台風の悪天が踏ん切り悪くだらだらと続いている状況である。台風接近自体はむしろ増えているように思うのは西日本と同様である。ところで、温暖化でシビアな台風が増えるというのは大ウソである。我々の子どもの頃、1950〜70年代は涼しかったが大型の台風はたくさん来た。
 季節順は変わるが夏の暑さについて書いてみたい。そもそも当地は、私がかつて住んでいた福知山盆地や広島平野に比べると、夏の昼間〜夕方は過ごしやすいところである。30年前にこちらに住み始めた頃は、そのように思ったものである。しかし、1990年代になると暑くなった。温暖化があったのは事実である。でも、ここのところは、また涼しくなったようで、この2〜3年は、7月が暑い傾向にあり、8月はもうそれよりも暑くならない。夏バテに弱い私としては助かっている。
 
 以上、だらだらといっぱい書いたが、上にもかいたように、こういう傾向は数年のふらつきであって、今後もこの傾向がますます強くなるということではない。でも、このように主観的に感じたということで、編集後記の無駄話として残しておく。
 

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