2013年9月〜2014年4月の天文現象の報告
                          
                           上原 貞治
                               
 
以下で、"◎>"は、2013年と2014年のそれぞれの年頭に西中筋天文同好会のウェブページに出した「私が選んだ2013(2014)年の天文現象」からの引用です。●は私による観測報告です。
 
◎>アイソン彗星は、11月末に太陽に急速に近づき、たいへん明るくなると期待されています。消滅しなければ、太陽から離れていくとき にもすばらしい景色が見られるかもしれません。
●まさか本当に消滅するとは思っていなかったのですが、実際消滅してしまいました。アイソン彗星は光度の上昇が当初の予想より遅く、私のところで眼視で捕らえられるようになったのは10月になってからでした(10月10日に20cm反射で11等と観測)。以後、それでも11月16日〜22日に5等から3等まで増光して、期待を抱かせました。こちらで最後に観測したのは23日で3等止まりだったようです。宇宙からの観測によると、近日点通過直前の11月28日に分裂して減光し、以後、地上からは観測できませんでした。(「銀河鉄道」前号(WWW版43号)の田中氏の記事をご参照ください)
 
●11月、アイソン彗星の増光と時を同じくして、新彗星 C/2013 R1ラブジョイ彗星も明るくなりました。11月22日の朝方には4等級で肉眼で観測できました。アイソン彗星は3等でしたが低空で肉眼では見えず、(私に取っては)惜しくも同時肉眼彗星出現とはなりませんでした。(「銀河鉄道」前号の福井氏の記事参照)
 
●12月13-15日のふたご群流星群は、月明の悪条件を押して写真撮影に挑戦しました。その結果1個だけ郡流星を写す事が出来ました(「銀河鉄道」前号の「編集後記」参照)
 
●12月28日の小惑星(141)Lumenによる恒星の掩蔽観測を試みましたが、私の観測地では通過となって減光は見られませんでした。掩蔽帯が予報よりも多少南にずれたようで、国内の別の場所で掩蔽が観測されました。
 
●2014年の1月中旬に、比較的近距離の銀河であるおおぐま座のM82に明るい超新星が出現しました。私のところでは、1月29日に眼視で10.6等と観測しました。M82の銀河の中心付近の複雑な構造に近いところにあって、なかなか面白い眺めでした。
 
●2013年に増光して以来8等付近の光度を保っているC/2012 X1 LINEAR彗星を4月5日に観測しました。やや拡散していましたが核のようなものが見えました。物質の供給が細々と続いているものと推定します。
●4月15日の月出帯食は、月の出から17分くらいしか見られないという観察しづらい(かつ見栄えのしない)月食でした。(これは関東での条件で、月の出の遅い西日本ではそもそも見られなかった)月食の終わりの2分前に月が昇ってきているのを見つける事が出来ました。期待したよりも立派な見栄えでした(表紙写真参照)
 
◎> 4月の火星接近は、中程度の接近です。
● 赤く明るく光っている火星を夜空に望むことができます。4月25日に望遠鏡で見ましたが、北極冠のほかは特に模様は見えませんでした。
 

今号表紙に戻る