ラブジョイ彗星観測記

福井 雅之

 

今年の天文現象で最も期待の大きかったアイソン彗星。12月には満月よりも明るくなるとの半年前予想もありましたが、太陽の熱に耐え切れずそのほとんどを消失し残念な結果でした。(それはそれで今後の研究に有効な結末だったと思いますが・・・)

アイソン彗星が近日点を通過してからもあきらめきれず、“ステラナビゲータ”でその後の予測を見ていると、すぐ近くのラブジョイ彗星が4等級台に増光しているのに気がつきました。これなら直焦点で十分狙えると思い準備を始めることにしました。

望遠鏡を物置から引っ張り出して観測できたのが12月11日の早朝。平日で会社もあることから遠くに行くことを断念し、東方面が開けている近所の田んぼのあぜ道に望遠鏡をセットし始めたのが04:50頃でした。北斗七星が見えていたにも関わらず、気持ちがあせって北極星を見誤ってしまい極軸合わせに10分程度ロスしたのはお恥ずかしい限りです。

かんむり座横のラブジョイ彗星を双眼鏡で探し出した後、ファインダーでその姿をとらえシャッターを切り始めたのは05:15頃。カメラの最大感度ISO6400にセットし、露出15秒の試し撮りで10枚程度撮影、少しずつ構図を整えISO感度を落とし本格撮影しようとした矢先に雲がかかり見えなくなってしまいました。そしてそのまま夜明けを迎え撤収せざるを得なかったことがちょっぴり残念です。表紙写真は試し撮りで何回か撮ったうちの1枚です。空が暗い場所でカメラ設定が最適であれば、もっと長い尾をお見せすることができたと思いますが彗星らしい姿は感じていただけると思います。今回の撮影で、ISO6400では画質が粗すぎて補正がしにくいことがわかったのは今後の教訓です。

まもなく迎える2014年は、できるだけ望遠鏡を条件のよいところに担ぎ出し、天の川を中心に美しい星空を撮ってみたいと思っています。




表紙とは別の試し撮りの1枚をトリミングしてみました。

日時:2013年12月11日05:28

ミザール12cm反射(F=720mm)直焦点(トリミング) EOS Kiss X4ボディ

ISO6400 露出15秒

補正なし

撮影地:静岡県田方郡函南町

 

今号表紙に戻る