編集後記
 
            発刊部 上原 貞治

 この「銀河鉄道」の編集後記は、そもそもは、浮世離れをした空の話題ばかりでなく、その時々の地上の時事問題を取り上げたいと思って始めたものである。実際は、必ずしもそうなっていないことが多いが、今回は、時事問題、といっても政治ではなく経済に関することを取り上げたい。

 昨年末の政権交代のあと、景気が良くなったと言われている。私自身のところではそんなことはまったく感じないのであるが、世間で経済活動が活発になっているとすれば、それ自体は喜ばしいことである。

 ところが、ここ何年か、それとは裏腹に困った現象が起こっているように思う。それは、金があってもなかなか新しい製品で買いたい物がないのである(実際は金がないので、これで助かっていることもある)。たとえば、テレビやパソコンは、老朽化で壊れるので、新しい物を買うには買うが、それで、できることがどっと増えるわけではなく、壊れたので仕方なく買うだけである。古いのが壊れなければ多分買わない。昔はパソコンが壊れると新しいのが買えるので半分くらいは喜んだものだが、今は金がかかるのが辛いだけである。スマホなど進化していて興味がないことはないが、出来ることはモバイル型パソコンとデジカメと従来の携帯電話を持って歩くのと変わらないような気がする。1つですめば便利ではあるが、3つが1つになっただけのことである。でもまあこれは、私が買えるくらいの値段の画期的な商品を次々に開発することは相当困難だろうことはわかるので、批判をするつもりは毛頭ございません。
 
 そこで昨今気づいたのが、テレビでやっているCMについてである。今は、以前ほど工業製品や食品の新製品の宣伝を熱心にしていない。特に、テレビやパソコンなど電気製品のCMはほとんどやっていない。食品のCMは昔からある常番の銘柄のCMが多い。
 
 現在、実際に放映されている宣伝の多くは、企業イメージの向上をめざしたものではないか。私は会社に投資するつもりなどないので、企業イメージなど自分に何の足しにもならないし興味もない。私が買える良い製品を作ってくれることによってのみ評価したいと思う。新製品の長所を紹介するそういう観点のテレビCMはほとんどないですね。最近は。
 
 メーカーの宣伝部の皆様方、新製品を世に出したら、その物の良いところを具体的に強調するCMをどんどんと誇らしげに放送して下さい。そうしたら、そのうちに本当に画期的な商品も出てきてブームを引き起こすことができるでしょう。貴方の会社が影でどんなに頑張っていても、私にはそれほど興味はありません。誰でも大なり小なり影で社会を支えています。 よしやそのCMに私が感銘を受けたところで、私は会社に何の貢献も出来ません。私は、もはや前時代の人間であって、こんなことは現在では通用しないとおっしゃるかもしれません。しかし、そのようなご批判は、CMのおかげでどんどん売れるようになった画期的な新商品を出されてから伺いたいと思います。失礼を申してすみません。
 

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