天文軌道計算に思うこと
福井 雅之
 
皆さんこんにちは。
せっかく私の好きな彗星が来ているのに一度も観測に出ないという不精をしていたので原稿の持ちネタがありません。
ということで今回はつなぎの文章でご容赦ください。
 
先日部屋を片付けていたら、中野主一さん著の「軌道計算プログラムマイコン宇宙講座」という懐かしい本が出てきました。
大学卒業直後の昭和56年に購入したもので、天体軌道計算の仕方とBASIC言語で作成したプログラムの掲載という構成で、暦に始まり、太陽系惑星、月、彗星、星座、はたまた人工衛星に至るまであらゆる天体の動きをBASICプログラムで解析するという内容でした。
著書のなかで紹介されているパソコンの種類は、
@PC-8001(NEC) ATRS-80(Tandy Radio Shack) BCBM3032(Cmmodore) CMZ-80K/80C(シャープ) DAppleU(Apple Computer)
当時、高価で買えないので雑誌を見て憧れていた懐かしい製品たちです。記憶媒体はカセットテープが主役、フロッピーディスクドライブは高嶺の花で、こちらもとても付属品として買えるものではありませんでした。当然WindowsやMS-DOSも存在しない時代で、パソコン=BASICマシンを自在に操る先駆者が様々なプログラムを作成・公開しては皆でさらに良いものに仕上げるという一歩一歩ソフトの進化が感じられる時代でした。
 
それから32年が経ちパソコンは飛躍的に性能が上がり、大容量記憶装置やインターネット接続が当たり前、家電同様に誰もが使える道具に進化しました。ソフトウェアも、Windowsをベースにソフト会社から安価で優秀なソフトが供給され、自身で作ることもほとんどなくなりました。しかし、黎明期のハード・ソフト設計者の努力が今の便利なIT時代を支えているのは間違ありません。
 
さて現在私の天文用途の愛用ソフトは、
パソコン:AstroArts社製のステラナビゲータ
スマホ :AstroArts社製のスマートステラ です。
ステラナビゲータは本当によくできたソフトで、ほとんど全ての天体の軌道計算を詳細に行い、星図と一緒に表示するというプラネタリウムそのものです。拡大・縮小も自由自在で17等級1億個以上の恒星データは画面を拡大しても十分な量で圧巻です。日食・月食の観測補助機能も充実しており、詳細な天体の動きを調べたりカメラの構図を決めるとき大活躍してくれています。
スマートステラは屋外で実際の星空から星座や惑星を見つけるときに重宝しています。スマートフォンを夜空に掲げるとそこで見える星座や恒星が自動で表示されます。北にかざせば北極星を中心とした星座が、南にかざせば黄道12星座やその仲間たちがいとも簡単に表示されます。「あの星なあに」と聞かれてもこれさえあれば答えに窮することもありません。
どちらも優秀なソフトでアマチュア天文家にはお勧めですが、ちょっと価格が高いのは仕方ないところでしょうか?
 
 
ようやく春になったので、新たな気持ちで望遠鏡を持ち出そうと思っています。今年はアウトドア派天文ファン路線でいきたいと思います。
 
 

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