金星の日面通過(太陽面通過)観測記

福井 雅之

 

1.     はじめに
銀河鉄道創刊40周年おめでとうございます。これだけ続いたのも上原会長の努力の賜物ですね。50周年に向けて微力ながら応援させていただく所存です。
その節目の2012年は天文現象の当たり年。日本中が沸いた金環日食はその中心線に住んでいながら天候に恵まれず、結局1枚も写真が撮れなかった状況にくやしい思いをしました。
今度こそはと休暇取得し万全の準備で臨んだ6月6日の金星の日面通過。こちらも曇りがちですっきりしない天気でしたが、雲の切れ間から少しの時間観測ができましたので報告します。
日食と金星の日面通過のどちらが珍しいかというとそりゃあ金星の日面通過に軍配が上がります。何と言っても次は105年後ですから今の人はほとんど生きていないでしょう。日食は13年後の2035年に北陸から北関東にかけての皆既日食です。その時は78歳、今から子供に連れて行ってくれるように頼んでありますが生きているかどうか・・・
曇っていた負け惜しみはこの程度にして準備段階から観測結果までを簡単に記します。

2.     準備と使用機材
今回は金環日食のリベンジです。6月6日(水)の休暇取得を早めに周囲の人たちに宣言しておいたこともあり、当日は無事休むことができました。
望遠鏡に取り付ける減光フィルムは国際光器から買ったドイツ製。これを切り取り、望遠鏡主鏡の鏡筒にかぶせるものとファインダーにかぶせるものの2種類用意しました。今回の使用機材は次の通りです。
望遠鏡     :12cm反射(ミザール120SL)+減光フィルム
カメラ     :EOS Kiss X4(ボディのみ)
パソコン   :ライブビュー機能を使ってリアルタイムに画像取り込み
  
 望遠鏡+減光フィルターで直焦点撮影   ライブビューでPCに直接取り込み
 (望遠鏡とPCは5mのUSBケーブルで接続しています。)
 
これが今回活躍した減光フィルム。望遠鏡とファインダーにかぶせて使います。

3.     観測当日
早起きして機材を家の駐車場で組立て、第1接触時刻の7:10には準備万端。しかしながら肝心の太陽はぶ厚い雲の中。一瞬金環日食のことが頭をよぎります。
ひたすら待つこと4時間、ようやく太陽が雲の切れ間から顔を出してくれるようになりました。
第3接触の13:30頃にはかなり天気も安定してきて接触の瞬間もとらえることができました。
せっかく太陽活動が活発な時期ですので黒点も写るように露出をアンダー気味に抑えています。
いずれの写真も望遠鏡にカメラボディを付けた直焦点撮影を後でトリミングしました。

   11:50 太陽が顔を出し始めました。黒点もいくつか見えています。

 13:30 第3接触の瞬間(金星が太陽から抜け始めます)。

4.おわりに
天候はもうひとつでしたが、金環日食のリベンジは果たせました。
この続きで8月14日(火)の金星食(月が金星を隠す)も帰省中の福知山からの観測で一緒に報告する予定でしたが、当日は大雨で全くだめでした。
その代わりに猪崎の実家から福知山城を直焦点・対物法様々な手法で撮影してみましたので次回銀河鉄道で報告させていただくつもりです。

 


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