2011年9月〜2012年4月の天文現象の報告


                          上原 貞治
                               
 
以下で、"◎>"は、2011年(と2012年)の年頭に出した「私が選んだ2011年(2012年)の天文現象」からの引用です。●は私による観測(不測も含む)報告です。今回は、発行日の関係で4月20日で締めとしています。
 
 
◎> 45P/本田・ムルコス・バジュサコバ彗星は、この彗星としてはまれに見る好条件で、9月下旬に、エレーニン彗星の近くで6等台で見えると期待されます。
●ついに45P/本田・ムルコス・バジュサコバ彗星を見ることが出来ました。私が、この彗星を1975年1月に望遠鏡の操作ミスにより見そこねたことは、「銀河鉄道」印刷板第26号(1975)に報告したとおりですが(古っ)、9月29日の早朝、36年経って念願をかなえることが出来ました。小さいながらもしっかりとしたイメージで、6〜7等と観測しました。エレーニン彗星は急速に暗くなったもようで観測できませんでした。
 
● C/2009P1ギャラッド彗星は9月も引き続き観測されています。
 
◎> 12月10日の月食は、真夜中に皆既食が満喫できるはずです。
●この月食は、欠け始めを除いて、終始、晴天下で見られ、皆既月食が満喫できました。 前号の銀河鉄道の表紙に写真があります。下に皆既中の星空の写真を載せます。
 
◎> 12月のふたご群も、月の条件が悪いです。
● 短時間ながら観望しましたが、流星はほとんど見られませんでした。
 
◎> 1月2日の小惑星(705)Erminiaによる掩蔽は、隠される恒星が7等星とあかるく、また小惑星が比較的大きいため、広く観測されることが期待されます。
● 茨城県つくば市で観測しましたところ、掩蔽が観測されました。 
●1月17日の小惑星(266)Alineによる掩蔽も、茨城県つくば市で掩蔽を観測しました。同じ場所で立て続けに2度掩蔽観測に成功して、2012年はさい先の良いスタートでした。 
 
● 今年の2月から、私が所属している「日本ハーシェル協会」で『ハーシェルの天体を見よう2012』というキャンペーンイベントを始めました。その第1弾として、2月9,10,12日に、金星と天王星の接近を双眼鏡で観察しました。
 
◎> 4月初めには、金星がプレアデス星団の端のほうを通過します。
● これは4月4日に写真撮影を行いました。下に載せます。
 
 昨年の大地震の後、しばらく、節電で空が暗かったのですが、10月ころにもとの明るさに戻ってしまいました。暑い時期が終わって、関東各地で節電指令が解除され、街灯や自動販売機の明かりが戻ってきたためのようです。残念! でも、以前だったら、街灯がついていなくて夜空が暗い方がよい、などというと叱られたものですが、今は、節電のほうが大事でしょうが! と偉そうに言えます。計画停電や原発再稼働よりは節電がいいでしょうが!




皆既中の星野 (2011年12月10日23時15分、露出60秒、f=38mm(ズーム)、F5.6、固定、Nikon D70、撮影 上原貞治)



金星とプレアデス星団 (2012年4月4日18時51分、露出4秒、f=300mm(トリミング)、F5.6、固定、Nikon D70、撮影 上原貞治)
 
 

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