編集後記
上原 貞治
 
 今年(2007年)の天文界は、彗星の当たり年であった。それも「けったいな彗星」の当たり年であった。昼間の空に見えたマックノート彗星と突然増光して奇妙な姿を見せたホームズ彗星、彗星界もまさに「何でもアリ」の世の中になったようである。
 
 といっても、ホームズ彗星の増光は、1892年の発見時にも起こっていたのであるから、どちらかというとリバイバルである。 発見者のホームズは、「奇妙な物が見える」ということで、しばらくの間これを彗星とは思わなかったそうである。また、当時の天文学者の中にも、これは通常の彗星ではなく恒星間空間にある物体だと考えた人もいるらしい。
 
まあありふれた結論だが、長い間には宇宙ではどんなことでも起こる、ということであろう。ホームズ彗星の大増光は小惑星(隕石)との衝突によるのではないかという説を聞いた。太陽から離れたところでの大増光を説明するためにはそれが好都合のように思える。福井さんからすばらしい写真を送っていただいたが、私が撮った写真も下に載せておく。題して「月とホームズ彗星」。これは、表紙の福井さんの写真と同じ10月28日の撮影だが、表紙写真は明け方、これは夕方の写真である。増光の5日目の写真だ。



国立天文台は、「...(天文現象)を見よう」 というキャンペーンを年に3回くらいやっているが、現在、「惑星ぜんぶ見ようよ☆」というのが実施中である。これは、冥王星が惑星からはずされたために、全ての惑星を見ることが比較的簡単になったことを受けたものである。詳しくは、国立天文台のホームページを参照されたい。なかなか秀逸なキャンペーンで敬服の至りである。
 
このキャンペーンは8惑星全てを自分の目で見る、というものである。科学館で望遠鏡を覗かせてもらうのはよいが写真を撮って見たのではだめである。私は、すでに中学生の時までにこの8惑星のすべてを見たと思うが、この時は惑星は9個あった。冥王星は今まで眼視で見たことがない。たぶん50cmくらいの望遠鏡がいるだろう。
 
 さて、昨年に惑星が8個になってここでリセットされたと考えると、私はまだ水星を見ていない。ということは、私はまだ「すべての惑星」を見てないことになるのか? いずれにしても、このキャンペーンは1年間限定(2007.6.1〜2008.5.31)であるから、この期間内に登録して、その後に最終日までに全部を見ないといけない、と考える。ということなら、キャンペーン期間中には木星もまだ見ていない。というのは、遅ればせながら11月に登録した時点では、木星は見かけ上太陽に近づいて見えなくなってしまっていたのである(10月には毎晩のように見てたんですがねえ)。それ以外の6惑星は(地球も含めて)すべて12月に見た。水星と木星は1月〜2月に何とかなると考えている。というわけで、期間限定のハンディを課せば、ベテランにもけっこうスリルを持たすことができるものである。たとえば、期限ギリギリの2008年5月の1か月間に制限するならば、外合に近い金星は昼間の空に太陽の近くに探さないといけないことになる。このキャンペーンは、近年まれに見る?優れた一般向け天文企画であると思うが、さて反響はどうなのであろうか。
 
 「個人的には絶対いると思う」。町村官房長官は、UFO(未確認飛行物体)は未確認という政府の公式見解に「異議」を唱えたという。ナスカの地上絵の存在がその根拠と言うことだがどうであろうか。私は、ナスカの地上絵は「UFOの存在を信じる人が昔からいた」ということの証拠にはなるかもしれないが、UFOが存在そのものの証明にはならないと思う。
 

今号の表紙へ