世紀の大増光”ホームズ彗星観測記
福井 雅之
 
「ホームズ彗星が突如17等から3等に増光した」と上原氏より速報メールが届いたのがバーストが確認された翌日の10/25昼すぎでした。いつも通りさすがに早い情報に感心しきりです。
その数日前に念願のデジカメ(EOS Kiss Digital X)をネットで注文し子供のようにはしゃいだメールを上原氏に送った矢先の出来事でした。購入したカメラの最初の被写体として絶好の対象。宇宙からの最高のプレゼントに心は躍り、久々の天文写真の準備にかかりました。
以下ブログ風にその撮影記を報告させていただきます。

<10/28(日)早朝(初挑戦)>
購入したEOS Kiss Digital Xのバルブ撮影の仕方すら理解していない状態でしたが、台風一過で雲が切れた10/28(日)夜半、近くの柏谷公園駐車場に望遠鏡とカメラを持ち出して撮影したのが最初の豆粒のような写真です。満月が近くにありペルセウス座の形もわかりにくい環境でしたが、彗星自身が明るかったので難なく見つけることができました。その形は真円に近くまるで惑星状星雲のようでした。
大きさから望遠レンズではなく直焦点で狙うことにし、25年前のミザールの12cm反射望遠鏡に新品EOSを取り付けての初挑戦撮影でした。この望遠鏡には自作途中のガイド用のモーターが付いているのですが、駆動回路未製作のため機能していないので、今回もガイドスコープを見ながらの気力勝負の手動ガイドとなりました。
EOS KissデジXの最初の天体写真としてはまずまずの出来と自負しています。
 
(註:この写真は今号(銀河鉄道WWW版第25号)の表紙にあります。このページの最下行にリンクがあります。)
 
<11/4(日)早朝(2回目)>
月も新月に近づいてきたので、いつもの観測地である箱根の伊豆スカイラインまで移動して2度目の挑戦をしました。1度目に比べて全体がかなり淡く広がってきており少し彗星らしくなりました。コマの濃淡がきれいに出るように15秒露出としましたが、もう少し長めの露出とすればイオンテイルが写ったようで残念です。しかしこのあたりが手動ガイドの限界です。近々何とかモータードライブの回路とマイコンソフトを組み上げて楽をしたいと思います。
 
あれから1ヶ月半が経過し、彗星の形は惑星状星雲から淡い散光星雲のように拡がり、見つけるのも苦しくなってきました。2007年はマックノート彗星に始まりホームズ彗星に終わった彗星の当たり年でした。2008年1月にはタットル彗星(6〜7等級?)が帰ってきますが、さらに大きな肉眼彗星が来ますようにその子供である流れ星に祈りたいと思います。
 
 
−撮影データ−
撮影日時:2007-11-04 03:07
撮影場所:伊豆スカイライン旧玄岳パーキングエリア
望遠鏡 :MIZAR 120SL(口径120mm、焦点距離720mm)直焦点
カメラ :Canon EOS Digital X ボディ
露出時間:15秒
ガイド :6cmガイドスコープによる手動ガイド

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