シリーズ・ あなたにもできる最先端の天文学研究(4)
       
新星、超新星、変光星の観測
 
                            上原 貞治
新星
 新星とは、今まで暗くて観測されていなかった星が急に明るくなり、あたかも新しい星が出現したかのように見える現象です。新星の発見は、彗星の発見によく似た事情でアマチュア向けといえます。そして、彗星の場合とは違いたいした装置を必要としません。まさに、安価な装置で貴重な天文現象の生起を発見できるわけです。
 その要因のひとつは、新星は急に、たとえば、1〜2日で望遠鏡でも全く見えない状態から双眼鏡などでも見える明るさまで増光することです。暗い星は、それこそ星の数ほどありますし、どの星が新星になるのかは、通常は予想できませんから、まさに、今までになかった星の存在に気がついて「新星の発見」となるのです。大望遠鏡で空じゅうを常にしらみつぶしに探すということはしていないので、双眼鏡や小型カメラでの捜索が有効になります。しかし、彗星がぼっーと広がった天体であるために鋭眼を要するのに対し、新星は見かけ上はふつうの星ですから、ひたすら、過去にはなかった星を探せばよいことになります。そのぶん装置の良否がさほど影響しないことになります。ただ、見つけた星がすでに知られている星(恒星、変光星、小惑星など)でないことを証明するために、星図、星表や小惑星の位置推算などの細かい情報が必要となります。
 新星の発見時の光度は9等程度のことが多いので、実際には双眼鏡よりも写真の方が有利です。最近では、デジタルカメラで撮影すれば8等級くらいまでの星は写ると思われます。新星の出現頻度は、彗星と比べてもかなり少ないのですが、同じ人がまたしても新星を見つけているようで、新星発見には特別なコツがあるように見受けられます。新星は、発見された後はその光度の変化の観測が重要でこれは普通の変光星の観測に準ずることになります。「新星も見つかりゃただの変光星」。
 
超新星
 超新星は、新星よりずっと大きく増光する物理的にも新星とは異なる現象ですが、発見法については銀河系内の超新星に関しては事情は同じです。ただし、ここ400年ほど銀河系内での超新星の発見はありません。別の銀河に出現する超新星は、多くの銀河の近傍を組織的に捜索して発見されています。多くの場合、15等以下の暗いものなので眼視での発見は困難で、望遠鏡にカメラを取り付けたそれなりの装置が必要になります。1987年の大マゼラン雲に出現した超新星は、たまたま肉眼で発見されましたがこれは例外中の例外というべきものです。
 
変光星
 変光星とは、明るさを変える恒星のことで、新星もその一種です。普通の変光星が新星と違うところは、その星が明るさを変えることが昔から知られていることです(新星でない新しい変光星が発見されることもたまにはありますが)。それで、その観測は明るさの変化を追うということになります。これは、プロが行うに値するものなのですが、変光星はなんせ数が多く種類も多いのでプロがそのすべてについて観測し把握することは不可能なのでアマチュアの出る幕があります。その点、新星は目立つのでプロが喜んで観測しそうですが、こちらは発見後も、数時間から数日で光度が変化することもしばしばなので、夜で新星が空にのぼっていて天候が良いところでしか観測できないことを考えると、世界中に多くの観測者が必要となりアマチュアの手も借りたくなるというものです。多くの場合、光度の見積もりは眼視で行われます。これは多少の経験を要しますが、望遠鏡や双眼鏡以外の装置は必要ではありません。