大彗星・大新星カタログ2005

上原　貞治

　

　歴史的文献や文学作品などに取り上げられている彗星や新星の参照に便利なように、このカタログを作成した。この目的からして、見た目が顕著であった彗星と新星（超新星や一部の変光星を含む）を取り上げた。「大新星」という言葉は一般的にはないが、これはこのカタログの固有名詞だと思ってほしい。

　

１．彗星の選択基準

　参考文献1,2)を参考に、次の特徴のいずれかを持つ彗星を選び出した。1P/ハレー彗星に限り、軌道計算による光度の推定を観測記録に優先させて利用した。

・全光度が０等級より明るい

・尾が40度程度以上ある

・文献　1)に、"spectacular"　あるいは　"brilliant、あるいはこれに類する形容詞がついている

　ただし、上記の条件を満たしていても、太陽の方向に近いなどの理由で肉眼で見やすくなかったものは除外した。

　

２．新星の選択基準

　参考文献3,4,5)を参考に、次の特徴のいずれかを持つ新星（超新星と一部の変光星を含む）を選び出した。

・極大光度が2.0等以上である新星

・銀河系内で出現した超新星の有力候補となっているもの

・文献3)にクラス１の「客星」としてリストされている

・変光幅が４等以上あって、極大光度が2.0等以上の変光星 　（ただし、οCet（ミラ）は除く）

　

３．凡例

・発見者欄でつぎの略号は発見記録のある国名を表す。

　 Gr:ギリシア、C:中国、R:ローマ帝国、K:朝鮮、I:イタリア、G:ゲルマン民族/ドイツ、E:英国、J:日本、

　　A:アラブ民族/アラビア

・括弧内は、発見者が発見を行った国を示す

　 (Spa):スペイン、(G):ドイツ、(F):フランス、(E):英国、(I):イタリア、

　(SA):南アフリカ、(J):日本

　

・彗星の略号

　c.:comet、G.c.:Great comet

　

・新星の種別

　N:新星、SN:超新星、RN:反復新星（再発新星）、V:変光星

　

文献

1) G.W.Kronk, "Cometography" Vol.1 (1999), Vol.2(2003), Cambridge University Press

2) J.E.Bortle, "The Bright Comet Chronicles" (1998)

3) F.R.Stephenson, "A Revised Catalogue of Pre-Telescopic Galactic Novae and Supernovae",

Q. Jl R. astr. Soc. (1976) 17, 121-138.

4)「明るさの変わる天体、新星(N)・再発新星(NR)」富山市科学センター、富山市天文台、URL=http://www.tsm.toyama.toyama.jp/curators/aroom/var/nova/index.htm

5) H.W.Duerbeck, "A REFERENCE CATALOGUE OF GALACTIC NOVAE" (1990), URL=http://vizier.u-strasbg.fr/ftp/cats/II/173/Intro