編集後記
 
                発刊部
 
 銀河鉄道の印刷版のときにあったもので、WWW版になってから無くなったものがある。それは、「場所つぶしコーナー」である。銀河鉄道の印刷版は、袋とじで製本されていたので2ページが最小単位になっていた。それで、誌面の配置や原稿の総量の都合で、1ページ前後の余白ができそうになると、発刊部がどうでもよい駄弁をふるって余りの誌面をどうにか埋めたものである。ところが、このような「余白」というものは、WWW版では起こり得ないので、定義からして、「場所つぶしコーナー」などというものは用なしになったのである。
 しかし、駄弁ばかりであったとはいえ、「場所つぶしコーナー」にもそれなりの意味はあった−−そこに書かれていたのは、最新のニュースや仲間内の情報、文芸作品(?)などであった。そのおかげで、銀河鉄道は、読者と「同時代」を共有していたのである。そのようなものがなくなった銀河鉄道WWW版は、なんとなく時代から浮いてしまった、別の言い方をすれば日常から遊離してしまった感じが否めない。
 
  別に時代から浮いていても悪いことはないが、たまには時代との接点があった方が良いかもしれない、というわけで、ときどき「編集後記」なるものを書くことにした。特に書くこともないので、駄弁をふるうしかない。
 
・今年は関東はたいへん涼しい。昨今(8月中旬)は寒いくらいである。こんな涼しい夏はこちらに来てからはちょっと記憶にない。関西では1980年が極端に涼しい夏だったが、今年の関東はそれに近いような気がする。去年までの数年間が毎年猛暑だっただけに異常気象のような感じがする。電気の節約になっていいと思っていたが、農作物への影響が大きくてそれどころではないらしい。燃料の節約はもちろん重要だが、食料の生産のほうがさらに大切である。1994年は東日本が冷夏でコメの輸入騒動が起こった年であったが、今年はほうがもっとひどい感じである。恐ろしいことである。
 
・連日の悪天候のおかげで、梅雨入り以来、星がほとんど見られない。火星大接近で望遠鏡が久々によく売れたということであるが、空に向けることができなくていらいらしている子供が多いのではないか。かわいそうではあるが、そういうことでいらいらするのも貴重な経験だと思う。天体を見るというのは自然が相手だから、スイッチを押せばTVゲームが始まるというのとは全く別の世界なのだ。いかに上等の望遠鏡を買ってもらっても、空が晴れなきゃどうにもならない。
 
 同時代の話をする、といっても天気の話くらいしか思いつかないというのは情けない。
 
・この会誌の名前「銀河鉄道」はパクリである、というのは正しい。確かに「銀河鉄道の夜」からの「パクリ」である。しかし、「銀河鉄道999」からのパクリではない。この会誌の創刊のほうが「銀河鉄道999」の連載開始よりも古いのである。それどころか「宇宙戦艦ヤマト」のアニメがつくられるよりも古い。別にそういうことを自慢しているわけではない。松本零士先生が宮沢賢治先生からパクる以前に我々がパクっていたことを光栄としたいだけである。結局自慢してるのか。
 
・銀河鉄道WWW第3号の「『食』と『掩蔽』について(第1回)」に誤りがあったことが判明した。これは、ある方からご指摘を受けたものであるが、 3.にある月に掩蔽されうる2等星は、いて座σ星だけであるというのは誤りで、さそり座δ星とおうし座β星も掩蔽されうるということである、お詫びして訂正したい。ご指摘を下さった方に感謝する。