しし座流星雨への期待


1996年8月
上原 貞治

 またも、流星群関係の話で恐縮ですが、ご辛抱のほどを...。

 流星群のうち流星の出現数の非常に多いものを「流星雨」と呼びます。
どのくらい多くなれば流星雨になるのかはっきりとした定義はありませんが、
1分間の出現数が5個程度以上になれば、だいたい流星雨ということになるよ
うです。
 英語では、流星群を"meteor shower"、流星雨を"meteor storm"と読んでいる
ようです。

 流星雨というと、西中筋天文同好会では、ジャコビニ流星雨の話をしなけれ
ばなりません。
ジャコビニ流星雨は、西中筋天文同好会の結成のきっかけのひとつであったと
言ってもいいでしょう。
1972年10月08日の夜、火の粉のように降るという大流星雨が、予想されたので
すが、結果は大はずれで、流星はほとんど出ませんでした。
 そして、このジャコビニ流星雨より、もっと高い確率で、もっと迫力のある
出現を見せてくれる流星雨、まさに流星雨の王者とでもいうべきなのが「しし
座流星雨」です。

 「理科年表」によりますと、しし座流星雨は、ここ200年だけをとってみ
ても、1799年、1833年、1866年、1901年、1965年、1966年と出現しています。
容易に分かるように約33年の周期を持っています。
 出現のピークは、11月17日前後となっています。
 しし座流星雨は、周期33年のテンペル・タットル彗星(ペルセウス群のス
ウィフト・タットル彗星とはもちろん別物)が残していったチリによるものな
のです。
1933年ごろには観測されていませんがそれ以外はすべて観測されています。
とくに、1833年、1901年、1966年は、大出現であったようで、1時間に数千か
ら数万の流星の出現が見られました。
空が流れ星で満たされる状況であったといいます。
 ただ、出現は短時間でそれが良く見られるのは、明け方の数時間に限られる
ため、世界の特定の地域でしか大出現は見られなかったといいます。
 大出現のない年は、ほとんど目立たない程度の「しし座流星群」があり、こ
れが33年毎に大化けするわけです。

 しし座流星群は、33年周期でピークを迎えるのですが、ピークにはプラス
マイナス2年くらいのふらつきがあり、どの年に大出現するか1年の精度で予
想するのは困難なようです。
よって、次の出現は、1997年から2000年までのどこかと予想されています。
もうすぐですね。

 しし座流星群は、ピークの年の前後数年は、ある程度の出現をします。
それで、私は昨年11月18日の明け方に1時間、南東の空を眺めましたが、
13個の流星を見ることが出来ました。
いずれも、しし群で、明るく速いという特徴を持っていました。
 わたしは、これはかなりの注目すべき出現だと思っていましたところ、案の
定、日本のほかのところでも「ペルセウス群なみ」の出現を観測した人があっ
たといいます。
しかし、昨年の出現ピークは日本時間で18日の午前10時くらいと予想され
ており、その時刻でのヨーロッパの観測ではそれほどたいした出現はなかった
ことから、世界的にはさほど取り上げられませんでした。
ごく短時間だったので、統計学的に有為とみなされなかったようです。

 さて今年ですが、今年は去年と違って月も無く、ピークの予想時刻が日本時
間の深夜に当たりますので好条件です。
11月17日の夜、正確には18日の明け方がピークで0時ごろから夜が明け
るまで目が離せないと思います。
出現程度はわかりませんが、期待を込めて「今年のペルセウス群並み」と言っ
ておきますが、もちろん責任はもちません。
まあ、1997年以降に期待される大出現の前哨戦ということで楽しんで下さい。
もう寒くなっていると思いますので防寒には気を付けて下さい。

 1997年から2000年までのどこで大出現するかについては、またの機会に(も
ちろん1997年11月以前に)、予想をしてみたいと思っています。
おたのしみに。