私が選んだ2025年の天文現象
          上原 貞治
 
 今年も例年のごとく2025年のめぼしい天文現象をリストアップしてみました。
 下の表を見て下さい。「時刻など」の「h」は、おおよその時刻(hour)です。本当は、もっと正確な時刻がわかっているのですがここでは省略しています。目安だと思って下さい。実際に観測する際は、もっと詳しい予報をご自分で入手して下さい(観測地によって変わることもあります)。
 
「種別」の意味は以下の通りです。年によってないのもあります。
 
ast --- 小惑星による恒星の掩蔽(恒星食)
com --- 彗星の観測好期
occ --- 月による星食
pla --- 惑星に関わる現象
S.ecl ---  日食関係
M.ecl ---  月食関係
met --- 流星群
 
 ソースとして、おもに天文年鑑2025(誠文堂新光社)を利用しました。 
 
 天文現象は、関東地方で観測に適している現象ということで選びました。これは筆者が現在関東に住んでいるためであります。他の地方に在住の方には申し訳ありません。関西地方(実際には近畿全般)での現象の観測の可否を最終欄に示しました。◎は関西でもほぼ同様に観測できる現象、○は多少条件は異なるものの観測できる現象(関西のほうが条件が良かったり、関東では見にくい場合もあります)、×は観測できない現象を示します。
 
日付 時刻など 種別 現象 評価 関西
1〜3月 pla 火星小接近 **
1〜2月 夕方 pla 土星環消失へ **
1月3〜4日 深夜〜早朝 met しぶんぎ群 ***
2月1日 12h occ 土星食 *
3月5日 22h occ プレヤデスの食 **
3月14日 17h M.ecl 部分月食・半影月食 *
4〜5月 明け方 pla 土星環消失 ***
6月17,18日 夕方 pla 火星とレグルスの接近 **
8月12, 13日 早朝 pla 金星と木星の接近 **
8月12〜14日 深夜〜早朝 met ペルセウス群 **
8月16日 23h occ プレヤデスの食 ***
9月8日 1h M.ecl 皆既月食 ***
11〜12月 pla 土星環極細 **
11月6日 22h occ プレヤデスの食 **
11月18日 早朝 met しし群 **
12月〜   com 24P/ショーマス彗星 **
12月14日   met ふたご群 ***
 
 
 それでは、**以上のものの一部について、状況を予想してみましょう。
 
●本年1年をほぼ通して見られる土星環の消失、あるいは「極細」については、現象や事情が複雑ですので、「銀河鉄道」WWW版75号の関連記事をご参照ください。
(http://seiten.mond.jp/gt75/2024saturn_ring.htm)
 
●年頭のしぶんぎ流星群は、1月4日0時が極大と予報されています。この時間はすでに月が沈み、輻射点も昇っていますので、好条件です。
 
●今年は、条件のよいプレヤデスの食が複数回ありますが、3月5日と8月16日の現象が見栄えがすると思います。
 
●いわゆる土星環の消失で、今回もっとも注目されるのは、5月7日の前後で土星環の照らされる面が逆光から順光にスイッチする現象です。
 
●6月17日18日の宵の空に見える火星とレグルスの接近は、明るさが近いので、色の対比がおもしろいかもしれません。
 
●ペルセウス座流星群は、8月13日05時に極大の予報となっています。輻射点に比較的近いところに月があり、条件はよくありません。同流星群の観察の役得として、8月12日、13日の明け方には、金星と木星が接近した景色が見られます。
 
●9月8日の早朝(7日の夜半過ぎ)には、条件のよい皆既月食が見られます。部分月食のまま夜明けを迎えます。
 
●しし座流星群は、母彗星55P/テンペル・タットルの回帰(2031年)が近づいてきたので、そろそろ要注意です。11月18日の早朝にはダストトレイルの接近も予想されていますので、なにがしかの出現は観測できるとものと期待します。
 
●毎年安定した出現を見せるふたご座流星群は、今年は、夜半を過ぎてから月が昇ってくるもののほとんどの時間は大きな影響もなく、好条件です。
 
●今年は、昨年と打って変わって、今のところ明るい彗星の出現の予報はありません。唯一、24P/ショーマス彗星が、2025年12月〜2026年2月に、かなりの好条件で地球と太陽に接近し、8〜9等で見えると予想されています。