私が選んだ2023年の天文現象
          上原 貞治
 
 今年も例年のごとく2023年のめぼしい天文現象をリストアップしてみました。
 下の表を見て下さい。「時」は、おおよその時刻です。本当は、もっと正確な時刻がわかっているのですがここでは省略しています。目安だと思って下さい。実際に観測する際は、もっと詳しい予報をご自分で入手して下さい。
 
「種別」の意味は以下の通りです。年によってないのもあります。
 
ast --- 小惑星による恒星の掩蔽(恒星食)
com --- 彗星の観測好期
occ --- 月による星食
pla --- 惑星に関わる現象
S.ecl ---  日食関係
M.ecl ---  月食関係
met --- 流星群
 
 ソースとして、おもに天文年鑑2023(誠文堂新光社)を利用しました。 
 
 天文現象は、関東地方で観測に適している現象ということで選びました。これは筆者が現在関東に住んでいるためであります。他の地方に在住の方には申し訳ありません。関西地方(実際には近畿全般)での現象の観測の可否を最終欄に示しました。◎は関西でもほぼ同様に観測できる現象、○は多少条件は異なるものの観測できる現象、×は観測できない現象を示します。
 
日付 時刻など 種別 現象 評価 関西
〜3月 com C/2022 E3 ZTF彗星 ***
1月4, 5日 早朝 met しぶんぎ群 *
3月2日 夕方 pla 金星と木星の接近 **
5月6日 01h M.ecl 半影月食 **
7月下旬〜8月 com C/2021 T4 レモン彗星 **
8月〜12月 com 103P/ ハートリー2彗星 ***
8月12〜14日 深夜 met ペルセウス群 **
9月〜11月 com 2P/ エンケ彗星 *
9月21日 17h occ アンタレスの星食 **
10月29日 5h M.ecl 部分月食 **
11月〜翌2月 com 62P/ ツーチンシャン1彗星 **
11月18,19日 早朝 met しし群 **
12月14〜15日 met ふたご群 ***
 
 
 それでは、**以上のものの一部について、状況を予想してみましょう。
 
C/2022 E3 ZTF彗星は、見やすい北天で1月下旬から2月初めにかけて地球に最接近します。このころ4〜5等まであかるくなると期待されます。
 
3月2日夕方に、金星と木星が32'まで接近します。西空のやや高度の低いところですが、景色としてかえって見栄えがするでしょう。
 
●5月1日の金星と木星の接近は、早朝の空でとても明るい両星が14' まで接近しますので、見栄えのする美しい景色になるはずです。
 
●103P/ハートリー2彗星は、好条件での回帰で9月〜11月に見やすい冬の星座の方向で、7等まで明るくなると期待されています。
 
●8月のペルセウス座流星群は、明け方に月が昇ってきますが、大きな影響はないでしょう。
 
●9月21日のアンタレスの星食は、日没前後の現象で、肉眼で簡単に見えるというわけにはいきません。出現を望遠鏡で拡大してビデオ撮影すれば、アンタレスの伴星が写るかもしれません。
 
●11月のしし座群は、母彗星の接近が近づいてきたので、このあたりでいちど注目しておくとよいかもしれません。今年は、月の条件はよろしいです。
 
●12月のふたご座流星群は、13日が新月なので、一晩中、楽しめます。
 
今年は、派手な天文現象はありません。いつもの言になりますが、突発的現象に期待します。あるいは、渋く星見をすることにします。