私が選んだ2021年の天文現象
          上原 貞治
 
 今年も例年のごとく2021年のめぼしい天文現象をリストアップしてみました。
 下の表を見て下さい。「時」は、おおよその時刻です。本当は、もっと正確な時刻がわかっているのですがここでは省略しています。目安だと思って下さい。実際に観測する際は、もっと詳しい予報をご自分で入手して下さい。
 
「種別」の意味は以下の通りです。年によってないのもあります。
 
ast --- 小惑星による恒星の掩蔽(恒星食)
com --- 彗星の観測好期
occ --- 月による星食
pla --- 惑星に関わる現象
S.ecl ---  日食関係
M.ecl ---  月食関係
met --- 流星群
Jsat -- 木星の衛星(第1,2,3,4衛星)同士による食(E)または掩蔽(O)。後のほうが隠される衛星(A:金環、T:皆既、P:部分)
 
 ソースとして、おもに天文年鑑2021(誠文堂新光社)を利用しました。 
 
 天文現象は、関東地方で観測に適している現象ということで選びました。これは筆者が現在関東に住んでいるためであります。他の地方に在住の方には申し訳ありません。関西地方(実際には近畿全般)での現象の観測の可否を最終欄に示しました。◎は関西でもほぼ同様に観測できる現象、○は多少条件は異なるものの観測できる現象、×は観測できない現象を示します。
月日 時刻 種別 現象 評価 関西
1月3日 深夜 met しぶんぎ群 **
3月5日 明け方 pla 木星と水星の接近 **
4月20日 03h Jsat 4E3A **
5〜6月 com 7P/ポンス・ヴィネッケ彗星 *
5〜6月 com C/2020 R4 アトラス彗星 **
5月17日 03h Jsat 1E2P *
5月23日 03h ast (895)Helio *** ×
5月26日 19h M.ecl 皆既月食 ***
5月29日 夕方 pla 金星と水星の接近 **
6月12日 02h Jsat 3E1P **
6月12日 23h Jsat 3E1P **
6月27日 Met 6月うしかい群 *
7月30日 夕方 pla 金星と火星の接近 *
8月9日 03h Jsat 3O2T **
8月12-13日 深夜 met ペルセウス群 ***
8月22日 23h Jsat 3O2P **
9〜12月   com 67P/チュリモフ・ゲラシメンコ彗星 **
11月8日 13h occ 金星食 **
11月19日 17h M.ecl 部分月食 **
12月13〜15日 met ふたご群 ***
 
 それでは、**以上のものの一部について、状況を予想してみましょう。
 
● 5月23日の 小惑星(895)Helioによる10.1等の恒星食は、継続時間も長く減光も大きいので見える地域では観測しやすいと予想されます。掩蔽帯の予報は関東甲信越と福島県地方付近となっています。
 
●5月26日の皆既月食は、夕方、月が昇ってくる頃に始まります。ギリギリ浅い皆既月食で、西日本では、まだ空がうす明るいうちに皆既食になってしまいます。
 
●6月12日の2つの木星の衛星同士による食3E1Pは、どちらも、第3衛星ガニメデから少し離れて見えている第1衛星イオが眼視で識別できる程度に減光します。
 
●8月9日の3O2Tは、大きいほうのガニメデがエウロパを隠します。高倍率で重なっているかたちが見えるでしょうか。
 
●8月13日の早朝に極大を迎えるペルセウス座流星群は、深夜に月もなく、一晩中活発な活動がみられるものと期待できます。
 
●11月8日の金星食は、昼間の現象ですが、太陽からはじゅうぶん離れていて、金星も明るい時期なので、望遠鏡で捕らえられれば、安全に楽に観察できると思います。
 
●11月19日の部分月食も、夕方、月が昇ってくる頃に始まります。これは、ギリギリ皆既にならない部分月食です。
 
●12月のふたご座流星群は、あいにく月齢9〜10の月があるので、14日の早朝に月が西に低くなって空が好期だと思います。