私が選んだ2020年の天文現象
          上原 貞治
 
 今年も例年のごとく2020年のめぼしい天文現象をリストアップしてみました。
 下の表を見て下さい。「時」は、おおよその時刻です。本当は、もっと正確な時刻がわかっているのですがここでは省略しています。目安だと思って下さい。実際に観測する際は、もっと詳しい予報をご自分で入手して下さい。
 
「種別」の意味は以下の通りです。年によってないのもあります。
 
ast --- 小惑星による恒星の掩蔽(恒星食)
com --- 彗星の観測好期
occ --- 月による星食
pla --- 惑星に関わる現象
S.ecl ---  日食関係
M.ecl ---  月食関係
met --- 流星群
 
 ソースとして、おもに天文年鑑2020(誠文堂新光社)を利用しました。 
 
 天文現象は、関東地方で観測に適している現象ということで選びました。これは筆者が現在関東に住んでいるためであります。他の地方に在住の方には申し訳ありません。関西地方(実際には近畿全般)での現象の観測の可否を最終欄に示しました。◎は関西でもほぼ同様に観測できる現象、○は多少条件は異なるものの観測できる可能性のある現象、×は観測できない現象を示します。今年のリストでは、日本国内での地域差のある現象は少ないです。
 
月日 種別 現象 評価 関西
   1〜9月   com C/2017 T2 パンスターズ彗星 ***
1月4日 24h met しぶんぎ群 **
1月11日 04h M.ecl 半影月食 **
3月20日   pla 木星と火星の接近 **
4月4日   pla 金星・プレヤデス星団の接近 **
5月2日 22h ast (451)Patientia ** ×
5月22日 夕方  pla 水星と金星の接近 **
6月6日 04h M.ecl 半影月食 *
6月21日 16h S.ecl 部分日食 ***
7月下〜8月上旬   com 2P/エンケ彗星 **
8月12日   met ペルセウス群 **
   9〜10月   pla 火星準大接近 ***
11月30日 18h   半影月食 **
12月13〜15日   met ふたご群 ***
12月21日   pla 木星と土星の接近 ***
 
 
 それでは、**以上のものの一部について、状況を予想してみましょう。
 
●C/2017 T2 パンスターズ彗星は、北半球からは長期に渡って観測可能です。3月〜7月の間、北の空で安定して7等程度で安定して見られるでしょう。
 
●1月11日早朝の半影月食は、本当の月食ではありませんが、4時頃には本影の近くまで月が入り込んでくるので、肉眼でも冬の満月の輝きが失われているのがわかると思います。
 
●5月22日の夕方西空の水星と金星の接近は、水星としてはそこそこの高度で起こるので、空の状況が良ければ、2惑星が並んでいるのが肉眼で美しく観察できると思います。
 
●6月21日午後の部分日食は、半分程度の食分になります。
 
●今年のペルセウス座流星群は、下弦の月が輻射点の近くにあるので、12日の深夜、月が高くなる前に月から離れた方向を観測するとよいでしょう。
 
●火星は、9〜10月は、大接近に近い大きさで観測できます。2年前の大接近では、大黄雲に火星面の観測を阻まれたので、今回はリベンジのチャンスになります。
 
●12月のふたご座流星群は、月の影響もなく、13〜14日、14〜15日に安定して流星が見られると期待されます。
 
● 12月21日夕方の木星と土星の接近は、20年に1度の現象で、西の低空ながら、中倍率の望遠鏡の同一視野に両惑星を捕らえられるくらいまで接近します。
 
今年は、春から夏に北天を渡っていくパンスターズ彗星、夏至の日(日曜日)の日食、秋の火星が見ものでしょう。