私が選んだ2018年の天文現象
          上原 貞治
 
 今年も例年のごとく2018年のめぼしい天文現象をリストアップしてみました。
 下の表を見て下さい。「時」は、おおよその時刻です。本当は、もっと正確な時刻がわかっているのですがここでは省略しています。目安だと思って下さい。実際に観測する際は、もっと詳しい予報をご自分で入手して下さい。
 
「種別」の意味は以下の通りです。
 
ast --- 小惑星による恒星の掩蔽(恒星食)
com --- 彗星の観測好期
occ --- 月による星食
pla --- 惑星に関わる現象
M.ecl ---  月食関係
met --- 流星群
 
 ソースとして天文年鑑2018(誠文堂新光社)、小惑星による恒星の掩蔽については、佐藤勲氏の計算を利用しました。 
 
 天文現象は、関東地方で観測に適している現象ということで選びました。これは筆者が現在関東に住んでいるためであります。他の地方に在住の方には申し訳ありません。関西地方(実際には近畿全般)での現象の観測の可否を最終欄に示しました。◎は関西でもほぼ同様に観測できる現象、○は多少条件は異なるものの観測できる可能性のある現象、×は観測できない現象を示します。
 
月日・期間 種別 現象 評価 関西
1月4日 met しぶんぎ座流星群 **
1月6日 5 ast (696)Leonoraによる掩蔽 ** ×
1月31日 20 M.ecl 皆既月食 ***
2月2日 5 occ レグルスの星食 **
4月23日 19 ast (696)Leonoraによる掩蔽 ** ×
5〜6月 com C/2016M1パンスターズ彗星 **
6〜10月   pla 火星大接近 ***
7〜10月 明け方 com 21P/ジャコビニ・ツィンナー彗星 ***
7/15〜8/10 明け方 com C/2017S3パンスターズ彗星 ***
7月28日 3 M.ecl 皆既月食 ***
8月12-13日 深夜〜 met ペルセウス座流星群 ***
10月8,9日 深夜 met ジャコビニ流星群 **
10月〜1月 com 46P/ヴィルタネン彗星 ***
10月21日 1 ast (449)Hamburga による掩蔽 **
11月 com 38P/シュテファン・オテルマ彗星 ***
11月26日 5 ast (776)Berbericiaによる掩蔽 *** ×
12月11日 5 ast (479)Capreraによる掩蔽 ** ×
12月14-15日 met ふたご座流星群 ***
 
 それでは、**以上のものの一部について、状況を予想してみましょう。
 
●1月31日の皆既月食は、極寒の季節であることを除外すると、とても観測しやすい条件です。
 
●火星は、7月末に大接近を迎えます。観測の絶好の機会です
 
●C/2017S3 パンスターズ彗星は、8月初めに明け方の空で、6等台になる予報が出ています。
 
●21P/ジャコビニ・ツィンナー彗星は、8月の未明の空で、7等程度まで明るくなる予報が出ています。この周期彗星については望める最高の条件と言えます。
 
●今年のペルセウス座流星群は、13日の早朝が最高の条件で、月明もまったくありません。
 
●ジャコビニ流星群は、日本では時刻的に不利ですが、母彗星の接近時に近いので、一応、二晩は要注意です。
 
●10月21日の現象は、小惑星による恒星の掩蔽として、全国的に見れば、今年もっとも好条件のものの1つで、北九州から京阪神、関東を掩蔽帯が通っていて、恒星も10等星で観測しやすくなっています。
 
●11月26日の同種の現象は、首都圏での掩蔽確率がほぼ100%になっています。恒星は10.6等です。
 
●38P/シュテファン・オテルマ彗星は、周期38年の大物周期彗星です。12月上旬に好条件で、9等くらいになります。
 
●46P/ヴィルタネン彗星は、12月に地球に長期間大接近し、3等台の予報が出ています。月が細い12月10〜14日頃が観測最好期でしょう。
 
●12月14〜15日のふたご座流星群は、月が西に低くなってから観測すれば好条件です。