私が選んだ2017年の天文現象
          上原 貞治
 
 今年も例年のごとく2017年のめぼしい天文現象をリストアップしてみました。
 下の表を見て下さい。「時」は、おおよその時刻で一部でいわゆる30時制を採用しています。つまり、24時より大きい数値は翌日の早朝を意味しています。本当は、もっと正確な時刻がわかっているのですがここでは省略しています。目安だと思って下さい。実際に観測する際は、もっと詳しい予報をご自分で入手して下さい。
 
「種別」の意味は以下の通りです。
 
ast --- 小惑星による恒星の掩蔽(恒星食)
com --- 彗星の観測好期
occ --- 月による星食
pla --- 惑星に関わる現象
S.ecl -- 日食関係
M.ecl ---  月食関係
met --- 流星群
Jsat --- 木星の衛星関係
 
  このリストの製作には、小惑星による恒星の掩蔽については、佐藤勲氏による初期予報(掲載予定です)、その他の現象については天文年鑑2016(誠文堂新光社)を利用しました。 
 
 天文現象は、関東地方で観測に適している現象ということで選びました。これは筆者が現在関東に住んでいるためであります。他の地方に在住の方には申し訳ありません。関西地方(実際には近畿全般)での現象の観測の可否を最終欄に示しました。◎は関西でもほぼ同様に観測できる現象、○は多少条件は異なるものの観測できる可能性のある現象、×は観測できない現象を示します。
 
月/日 種別 現象 評価 関西
1月〜2月
 

 
com
 
45P/本田-ムルコス-パイドゥシャーコヴァー彗星 **
 

 
1月3−4日 met しぶんぎ座流星群 ***
1月9日 23 occ アルデバランの星食 **
2月14日 23 occ γ Virの星食 **
3〜6月   com 41P/タットル-ジャコビニ-クレサク彗星 ***
3〜7月   com C/2015ER61パンスターズ彗星 **
3〜8月 21 com C/2015V2 ジョンソン彗星 ***
4月1日 18 occ アルデバランの星食 **
5月7日 23 occ γ Virの星食 ***
7月25日 18 occ 水星食 **
7月28日 23 occ γ Virの星食 ***
8月8日 2 M.ecl 部分月食 **
8月12-13日 深夜〜 met ペルセウス座流星群 **
8月30日 3 ast (59)Elpis **
10月21日   met オリオン座流星群 **
11月12日 0 occ レグルスの星食 *
11月13日 Pla 金星と木星の接近 **
12月13-15日 22 met ふたご座流星群 ***
12月22日 0 ast (334)Chicago **
 
 それでは、**以上のものの一部について、状況を予想してみましょう。
 
●45P/45P/本田-ムルコス-パイドゥシャーコヴァー彗星は、この彗星としてはまずまずの条件で、低空ながら、1月初めは夕方の西空に7等級で、2月後半は、明け方の東の空で6等級で見られると期待されます。
 
●γ Virは、接近した二重星なので、潜入、出現の瞬間に2星が分解される様子が興味深いと思われます。
 
●41P/タットル-ジャコビニ-クレサク彗星は、この彗星としては最良の条件で、5.5等くらいまで明るくなる様子が条件よく観測できると期待できます。バーストを起こすともっと明るくなるかもしれません。
 
●C/2015V2 ジョンソン彗星も好条件での接近で、7月上旬に6〜7等になるまでの様子が観測できるでしょう。
 
●7月25日の水星食は、日没時前後の現象です。
 
●8月8日早朝の部分月食は、最大食分0.25です。
 
●8月12日のペルセウス座流星群は下弦前の月があって条件が悪いです。
 
●12月13〜15日のふたご座流星群は、月の影響はごく少なく好条件です。