私が選んだ2013年の天文現象
上原 貞治
 
 恒例のごとく、2013年のめぼしい天文現象をリストアップしてみました。2013年は、大彗星の年として期待されます。 下の表を 見て下さい。「時」は、おおよその時刻で一部でいわゆる30時制を採用しています。つまり、24時より大きい数値は翌日の早朝を意味していま す。本当は、もっと正確な時刻がわかっているのですがここでは省略しています。目安だと思って下さい。実際に観測する際は、もっと詳しい予報 を自分で入手して下さい。
 
「種別」の意味は以下の通りです。
 
ast --- 小惑星による恒星の掩蔽(恒星食)
com --- 彗星の観測好期
occ --- 月による星食
pla --- 惑星(小惑星)に関わる現象
M.ecl ---  月食
met --- 流星群
 
 このリストの製作には、小惑星による恒星の掩蔽については、佐藤勲氏による初期予報、その他の現象については天文年鑑2013(誠文 堂新光社)などを利用しました。 
 
 天文現象は、関東地方で観測に適している現象ということで選びました。これは筆者が現在関東に住んでいるためであります。他の地方に 在住の方には申し訳ありません。関西地方(実際には近畿全般)での現象の観測の可否を最終欄に示しました。◎は関西でもほぼ同様に観測できる 現象、○は多少条件は異なるものの観測できる可能性のある現象、×は観測できない現象を示します。
 
           
月/日 種別 現象 評価 関西
1月   com C/2012 K5 リニア彗星 ***
1月3日 met しぶんぎ群 **
1月下旬 明け方 com C/2012 V4 彗星 **
1月16日 18 ast (509) Iolanda *
2月11日 22 ast (1406) Komppa * ×
3月〜5月   com C/2011 L4 パンスターズ彗星 ***
3月11日 22 ast (521) Brixia **
3月14日 26 ast (269) Justitia ** ×
3月17日 21 ast (1633) Chimay ** ×
4月26日 4 M.ecl 半影・部分月食 **
5月   com C/2012 F6 レモン彗星 **
5月25〜29日 夕方 pla 水星・金星・木星の接近 **
6月10〜11日 夕方 pla 月・水星・金星の接近 **
7月5日 21 ast (1032) Pafuri *
8月12日 18 occ スピカ食 ***
8月12〜13日 夜半〜明方 met ペルセウス群 ***
8月20日 20 ast (116) Sirona ***
9月19日 27 ast (1327) Namaqua *
10月〜12月   com C/2012 S1 アイソン彗星 ***
10月11日 27 ast (3132) Landgraf **
10月中〜11月上   com 2P/ エンケ彗星 **
11月16日 27 ast (451) Patientia **
12月2日 5 occ 水星食 **
12月2日 18 ast (1112) Polonia * ×
12月3日 29 ast (3419) Guth * ×
12月9日 23 ast (607) Jenny **
12月13-15日 met ふたご群 **
12月19日 24 ast (350) Ornamenta *** ×
12月28日 22 ast (141) Lumen ***
 
 
 では、評価の*印の2個以上のものをいくつかかいつまんで詳細を紹介しましょう。
 
● C/2012 V4は「失われた大物周期彗星」ポンス・ガンバールではないかと推測されている彗星です。(2012年12月26日にポンス・ガンバール彗星であることが認定されました) 北半球からの条件はあまり良くありません。
 
● パンスターズ彗星は、大彗星ともくされており、マイナス等級になる可能性があります。また、北の空に比較的長期間見られるはずで す。
 
8月12日のスピカの食は日 没頃に始まりますので、望遠鏡を使ってください。
 
● ペルセウス座流星群は、13日の未明が極大の予報になっており、深夜以降は月もないので絶好の条件です。
 
● アイソン彗星は、11月末に太陽に急速に近づき、たいへん明るくなると期待されています。消滅しなければ、太陽から離れていくとき にもすばらしい景色が見られるかもしれません。
 
● 12月2日の水星食は、日の出前に見られるという珍しいパターンです。
 
● 12月19日の小惑星(350)Ornamentaによる掩蔽でかくされるのは7.7等星です。この現象が見られる可能性があるの は、北陸、中部、関東甲信越地方のみです。