私が選んだ2012年の天文現象
上原 貞治
 
 毎年恒例のごとく、2012年のめぼしい天文現象をリストアップしてみました。2012年は、日本で、金環日食と金星の太陽面経過という超 ビッグな天文現象が2つも起こります。。
 下の表を見て下さい。「時」は、おおよその時刻で一部でいわゆる30時制を採用しています。つまり、24時より大きい数値は翌日の早朝を意味 しています。本当は、もっと正確な時刻がわかっているのですがここでは省略しています。目安だと思って下さい。実際に観測する際は、もっと詳しい予報を自 分で入手して下さい。
 
「種別」の意味は以下の通りです。
 
ast --- 小惑星による恒星の掩蔽(恒星食)
com --- 彗星の観測好期
ocl --- 月による星食
pla --- 惑星(小惑星)に関わる現象
M.ecl ---  月食
S.ecl ---  日食
met --- 流星群
 
 このリストの製作には、小惑星による恒星の掩蔽については、佐藤勲氏による初期予報、その他の現象については天文年鑑2012(誠文堂新光 社)などを利用しました。 
 
 天文現象は、関東地方で観測に適している現象ということで選びました。これは筆者が現在関東に住んでいるためであります。他の地方に在住の方 には申し訳ありません。関西地方(実際には近畿全般)での現象の観測の可否を最終欄に示しました。◎は関西でもほぼ同様に観測できる現象、○は多少条件は 異なるものの観測できる可能性のある現象、×は観測できない現象を示します。


月/日 種 別 現 象 評 価 関 西
1〜4月   com C/2009 P1 ギャラッド彗星 ***
1〜4月   pla 火星小接近 **
1月2日 20 ast (705)Erminia **
1月4-5日 met し ぶんぎ群 **
1月6日 18 ast (654)Zelinda  **
1月17日 23 ast (266)Aline **
1月24日 23 ast (1609)Brenda * ×
2月7日 29 ast (1102) Pepita *
3月10日 19 ast (3152)Jones * ×
3月20日 28 ast (691)Lehigh * ×
4 月2-4日 夕 方 pla 金 星とプレアデスの接近 **
4月28日 21 ast (179)Klytaemnestra **
5月21日 6 S.ecl 金 環日食 ***
5月26日 26 ast (95)Arethusa **
5月28日 27 ast (52)Europa **
6月4日 19 M.ecl 部 分月食 **
6月6日 7 pla 金 星の太陽面経過 ***
7月15日 13 occ 木 星食 **
7月21日 25 ast (2726)Ketelnikov *
8 月 明 け方 com 185P/ ペトリュー彗星 *
8月3日 20 ast (404)Arainoe **
8 月12〜13日 夜 半〜明方 met ペ ルセウス群 ***
8月14日 3 occ 金 星食 ***
8月26日 21 ast (12444)Prothoon *
9月2日 28 ast (3902)Yoritomo * ×
10月19日 26 ast (85)Io **
11月6日 18 ast (691)Lehigh **
11月11日 27 ast (904)Rockefellia ** ×
11 月15-17日 夜 半〜明方 met し し群 **
12月2日 23 ast (402)Chloe **
12月2日 29 ast (569)Dudu ** ×
12月3日 22 ast (487)Venetia ** ×
12 月10-17日   pla (4179) トータチスの地球接近 **
12月10日 23 ast (1281)Jeanne *
12 月13-15日 met ふ たご群 ***
12月20日 28 ast (653)Berenike * ×
12月28日 21 ast (478)Tergeste *


 
 では、評価の*印の2個以上のものをいくつかかいつまんで詳細を紹介しましょう。
 
● C/2009P1ギャラッド彗星は、前年以来の明るさをキープしていれば7等前後で比較的長い期間見られるはずです。
 
● 1月2日の小惑星(705)Erminiaによる掩蔽は、隠される恒星が7等星とあかるく、また小惑星が比較的大きいため、広く観測される ことが期待されます。
 
4月初めには、金星がプレアデス 星団の端のほうを通過します。
 
● 5月21日の朝、日本の広い範囲で金環日食あるいは深い日食が見られます。
 
● 6月4日の部分月食は、月が出る頃に半分くらい欠けていて、月食の後半が見られます。
 
● 6月6日は、日本中で金星の太陽面経過が始めから終わりまで見られます。

● 7月15日の木星食は、昼間の青空での現象で望遠鏡が必要です。
 
● 8月のペルセウス群は、下弦を過ぎた月が高くなる前の時間帯に見るのが良さそうです。

● 8月14日早朝の金星食は、夜間に始めから終わりまで見られるという絶好の条件です。
 
● 特異小惑星(4179)トータチスの地球接近時の明るさは10.5等です。
 
● 12月のふたご群は、新月の頃なので月の条件が最良です。