私が選んだ2011年の天文現象
(2011.1.29改訂)
上原 貞治
 
 毎年恒例のごとく、2011年のめぼしい天文現象をリストアップしてみました。2011年の天文現象は、おおむね低調ですが、月食と彗星のみ好調のようです。
 下の表を見て下さい。「時」は、おおよその時刻で一部でいわゆる30時制を採用しています。つまり、24時より大きい数値は翌日の早朝を意味しています。本当は、もっと正確な時刻がわかっているのですがここでは省略しています。目安だと思って下さい。実際に観測する際は、もっと詳しい予報を自分で入手して下さい。
 
「種別」の意味は以下の通りです。
 
ast --- 小惑星による恒星の掩蔽(恒星食)
com --- 彗星の観測好期
ocl --- 月による星食
pla --- 惑星現象
M.ecl ---  月食
S.ecl ---  日食
met --- 流星群
 
 このリストの製作には、小惑星による恒星の掩蔽については、佐藤勲氏による初期予報、その他の現象については天文年鑑2011(誠文堂新光社)などを利用しました。 
 
 天文現象は、関東地方で観測に適している現象ということで選びました。これは筆者が現在関東に住んでいるためであります。他の地方に在住の方には申し訳ありません。関西地方(実際には近畿全般)での現象の観測の可否を最終欄に示しました。◎は関西でもほぼ同様に観測できる現象、○は多少条件は異なるものの観測できる可能性のある現象、×は観測できない現象を示します。
 
月/日
 

 
種別
 
現象
 
評価
 
関西
1月3〜4日 met しぶんぎ群 **
1月8日 20 ast (212)Medea ***
1月18日 20 ast (980)Anacostia ** ×
2月4日 18 ast (912)Maritima **
3月3日 25 ast (52)Europa ** ×
3月18日 18 ast (5024)Bechman **
3月25日 29 ast (1977)Shura **
4月18日 20 ast (762)Pulcova *** ×
6月〜2012年前半  
 
com
 
C/2009P1 ガラッド彗星
 
***
 

 
6月2日 21 ast (377)Campania *
6月4日 26 ast (1007)Pawlowia *
6月8日 25 ast (679)Pax * ×
6月16日 3 M.ecl 皆既月食(実際には部分のみ) ***
7〜11月   com C/2010X1 エレーニン彗星 ***
7〜8月   com 27P/ クロンメリン彗星 *
7月8日 27 ast (2376)Martynov *
7月12日 22 ast (932)Hooveria **
7月19日 22 ast (4672)Takuboku **
8月3日 22 ast (95)Arethusa ** ×
8月12〜14日
 
夜半〜明方 met
 
ペルセウス群
 
**
 

 
9〜10月   com 45P/ 本田・ムルコス・パジュサコバ彗星 **
9月5日 27 ast (13)Egeria ***
10月1日 19 ast (43)Ariadne **
10月8日 25 ast (593)Titania **
10月11日 29 ast (39)Laetitia *
10月12日 27 ast (1024)Hale **
12月2日 22 ast (1754)Cunningham *
12月2日 26 ast (1712)Angola ** ×
12月10日 21 M.ecl 皆既月食 ***
12月14日 met ふたご群 **
12月18日 24 ast (3089)Oujianquan *
12月29日 24 ast (275)Sapientia * ×
 
 では、評価の*印の2個以上のものをいくつかかいつまんで詳細を紹介しましょう。
 
● 1月8日の小惑星メデアによる10等星の掩蔽は、この種の現象の中で今年もっとも好条件のもののひとつです。
 
● C/2009P1 ガラッド彗星は、かなり大きな彗星で1年間にわたって眼視で観測できると期待されます。年末から来年初めにかけて6等くらいになると予想されます。
 
6月16日の皆既月食は、本州ではおおむね皆既が始まる頃に沈んでしまいます。
 
● C/2010X1 エレーニン彗星は、明るくなると期待されている新彗星です。最大の観測好期は、9月の下旬で、明け方の空で4等台になるかもしれません。
 
● 8月のペルセウス群は、月の条件が最悪です。
 
● 45P/本田・ムルコス・バジュサコバ彗星は、この彗星としてはまれに見る好条件で、9月下旬に、エレーニン彗星の近くで6等台で見えると期待されます。
 
● 12月10日の月食は、真夜中に皆既食が満喫できるはずです。
 
● 12月のふたご群も、月の条件が悪いです。