私が選んだ2009年の天文現象
上原 貞治
 
 2009年のめぼしい天文現象をリストアップしてみました。
 下の表を見て下さい。「時」は、おおよその時刻で一部でいわゆる30時制を採用しています。つまり、24時より大きい数値は翌日の早朝を意味しています。本当は、もっと正確な時刻がわかっているのですがここでは省略しています。目安だと思って下さい。実際に観測する際は、もっと詳しい予報を自分で入手して下さい。
 
「種別」の意味は以下の通りです。
 
ast --- 小惑星による恒星の掩蔽(恒星食)
com --- 彗星の観測好期
ocl --- 月による星食
pla --- 惑星現象
M.ecl ---  月食
S.ecl ---  日食
met --- 流星群
Jsat --- 木星の衛星の相互食
Ssat --- 土星の衛星の相互食
 
 このリストの製作には、小惑星による恒星の掩蔽については、佐藤勲氏による初期予報、その他の現象については天文年鑑2009(誠文堂新光社)を利用しました。 
 
 天文現象は、関東地方で観測に適している現象ということで選びました。これは筆者が現在関東に住んでいるためであります。他の地方に在住の方には申し訳ありません。関西地方(実際には近畿全般)での現象の観測の可否を最終欄に示しました。◎は関西でもほぼ同様に観測できる現象、○は多少条件は異なるものの観測できる可能性のある現象、×は観測できない現象を示します。
 
 
月/日 種別 9 評価 関西
1月3日 18 ocl 22 Psc の接食 * ×
1月3日 met しぶんぎ群 *
1月〜4月 明方〜夜半 com C/2007 N3 ルーリン彗星 ***
1月17日 17 ast (1098)Hakone * ×
2月4日 29 ast (1214)Richilde * ×
2月9日 21 M.ecl 半影月食 *
2月23日 5 ocl 水星食 *
2月23日 9 ocl 木星食 *
3月1日 29 ast (696)Leonora * ×
3月29日 26 ast (3405)Daiwensai * ×
4月〜8月 com 22P/ コップ彗星 **
4月6日 27 ast (2218)Wotho *
4月22日 28 ast (20)Massalia *
4月27日 20 ast (1914)GoldSchmidt * ×
5月17日 3 Jsat J-4E1P本 *
6月9日 24 ast (849)Ara * ×
6月30日 0 Jsat J-3E4A本 *
7月1日 24 ast (2649)Oongaq *
7月22日 9 S.ecl 日食 ***
7月22日 23 Jsat J-3E1P本 **
7月29日 3 Jsat J-3E2P本 *
7月30日 1 Jsat J-3E1P本 *
8月 夕方 Pla 土星環消失 **
8月12〜13日 夜半〜明方 met ペルセウス群 **
8月21日 19 Jsat J-1O2T **
8月21日 19 Jsat J-1E2P本 *
8月26日 20 Jsat J-3E2P本 **
9月10日 23 ocl プレアデス食 ***
9月12日 22 Jsat J-1E2P本 **
9月19日 23 ast (118702)2000OM67(KBO) *
9月20日 0 Jsat J-1E2P本 **
10月7日 18 Jsat J-1E2P本 *
10月14日 18 Jsat J-2O3A **
10月14日 23 ast (38)Leda *
10月15日 17 ast (61)Danae *
10月19日 21 Jsat J-2O3A **
11月14日 22 ast (325)Heidelberga *
11月18日 met しし群 **
12月1日 23 ocl プレアデス食 **
12月14日 met ふたご群 **
12月21日 21 ast (23968)1998XA13 *
12月24日 3 Ssat S-3E4P **
 
 では、評価の*印の2個以上のものをいくつかかいつまんで詳細を紹介しましょう。
 
● 2月に接近するルーリン彗星は、空の良い位置で2〜4等になるという予想が出ています。
● コップ彗星の極大予報は6月に8等です。
● 7月22日の日食では、南西諸島、硫黄諸島で皆既食となります。日本列島からもかなりの深度の日食が見られます。
● 8月には土星環を真横から見る位置に地球が来ますが、合の直前なので、この時期の観測は困難でしょう。
● 8月のペルセウス座流星群は、月齢19で条件はよくありません。
● 9月12日と20日の木星衛星の現象は、エウロパがイオの影に一部はいるもので、エウロパが2等程度暗くなります。
● 10月14と19日の木星衛星の現象は、エウロパがガニメデの表面に入り込んで重なるもので衛星が2重状態になります。
● 11月18日の朝には、しし座群のダストトレイルによる極大の予想が出ています。
 
● 12月のふたご座流星群は月がない最良の条件です。
● 12月24日には、土星の衛星ディオネがテティスの影に入り、一時的に0.7等ほど暗くなります。ディオネは約10等ですが土星から十分離れているので観測はそれほど困難ではないでしょう。