私が選んだ2006年の天文現象
上原 貞治
 
 2006年のめぼしい天文現象をリストアップしてみました。
 下の表を見て下さい。「時」は、おおよその時刻で一部でいわゆる30時制を採用しています。つまり、24時より大きい数値は翌日の早朝を意味しています。本当は、もっと正確な時刻がわかっているのですがここでは省略しています。目安だと思って下さい。実際に観測する際は、もっと詳しい予報を自分で入手して下さい。
 
「種別」の意味は以下の通りです。
 
ast --- 小惑星による恒星の掩蔽(恒星食)
com --- 彗星の観測好期
ocl --- 月による星食
pla --- 惑星現象
M.ecl ---  月食
met --- 流星群
 
 このリストの製作には、小惑星による恒星の掩蔽については、佐藤勲氏による初期予報、その他の現象については天文年鑑2006(誠文堂新光社)および月刊天文2006年1月号(地人書館)を利用しました。 
 
 天文現象は、関東地方で観測に適している現象ということで選びました。これは筆者が現在関東に住んでいるためであります。他の地方に在住の方には申し訳ありません。関西地方(実際には近畿全般)での現象の観測の可否を最終欄に示しました。◎は関西でもほぼ同様に観測できる現象、○は多少条件は異なるものの観測できる可能性のある現象、×は観測できない現象を示します。
 
月/日 種別 現象 評価 関西
1月4日 3 met しぶんぎ群 ***
1月5日 26 ast (748)Simeisa ** ×
1月26日 3 ocl 土星による8等星の掩蔽 ***
1月29日 22 ast (523)Ada **
2月2日 18 ast (2279)Barto *
3月1日 24 ast (748)Simeisa *
4月〜6月   com 73P/シュワスマン・ワハマン彗星 ***
4月17日 21 ast (3)Juno * ×
5月19日 21 ast (2932)Kempchinsky *
5月23日 26 ast (2932)Kempchinsky *
6月7日 15 ocl 昼間のスピカ食 *
6月20日 27 ast (3148)Grechko **
7月6日 26 ast (660)Crescentia **
8/12〜14 夜半〜 met ペルセウス群 *
9月8日 3 M.ecl 部分月食 **
8月27日 明け方 pla 金星と土星の接近 ***
10月22日 19 ast (1212)Franacette *
11月7日 1 ocl プレアデス食 ***
11月7日 28 ast (22)Kalliope ** ×
11月9日 6 pla 水星の太陽面経過 ***
11月24日 22 ast (92)Undina **
11月29日 20 ast (1488)Aura *
12/13〜15 21以降 met ふたご群 ***
12月17日 28 ast (253)Mathilde * ×
12月29日 22 ast (29769)1999CE28 (104 Tau) **
12月31日 18 ocl プレアデス食 ***
 
 
 
 では、評価の*印の2個以上のものをいくつかかいつまんで詳細を紹介しましょう。
 
● 1月4日のしぶんぎ群は、日本での観測で、輻射点高度、月の条件が最良となりました。。
 
● 1月26日は、土星と土星環が8等星を隠します。
 
● 5月には、73P/シュワスマン・ワハマン彗星が地球に接近して5等級くらいまで明るくなります。
 
● 8月27日の明け方には、金星と土星が見かけ上12'まで接近します。
 
● 9月8日の部分月食は、最大食分0.19に過ぎません。
 
● 11月〜12月に条件の良いプレアデスの星食が2回あります。 
 
● 11月7日の小惑星による恒星の掩蔽は、北海道、東北、関東方面で見られると予報されています。この種類の現象で今年最高の条件のものです。
 
● 12月のふたご座流星群の条件はまずまず申し分のないところです。
 
今年もとりたててという現象はありません。シュワスマン・ワハマン彗星、水星の太陽面経過あたりをご注目下さい。