私が選んだ2002年の天文現象
「私が選んだXXXX年の天文現象」も恒例となりました。
下の表を見て下さい。「時」は、おおよその時刻でいわゆる30時制を採用しています。つまり、24時より大きい数値は翌日の早朝を意味しています。本当は、もっと正確な時刻がわかっているのですがここでは省略しています。目安だと思って下さい。実際に観測する際は、もっと詳しい予報を自分で入手して下さい。
「種別」の意味は以下の通りです。
ast --- 小惑星による恒星の掩蔽(恒星食)
com --- 彗星の観測好期
pla --- 惑星現象
S.ecl --- 日食
met --- 流星群
occ --- (月による)星食
JSm --- 木星の衛星同士の食または掩蔽
ast について多少補足説明をします。これは、小惑星がその背後に恒星を隠す現象で、小惑星の大きさを測定するために、観測が行われているものです。通常は、小惑星より明るい恒星が対象になっているので、掩蔽がおこると恒星が減光する(あるいは消える)ように見えます。ただし、この掩蔽が見られるのは小惑星の直径程度の幅のせまいベルト上の範囲の地域に限られており、また小惑星の位置の予報の精度も十分でないため、ある場所で掩蔽が観測できるかは、観測してみないとわかりません。まあ掩蔽が見られるかどうかは運次第だと考えた方がいいと思います。適当な場所で観測した場合、本当に見られる確率は10%くらいだと思って下さい。これらは佐藤勲氏による初期予報によっています。のちに発表される改良予報にしたがって観測地を選択すれば、掩蔽が観測できる確率はぐっと上がります。
このリストは、関東地方で観測に適している現象ということで選びました。これは筆者が現在関東に住んでいるためであります。他の地方に在住の方には申し訳ありません。他の地方での観測の可否については、解説中に書くようにします。
月/日 | 時 | 種別 | 現象 | 評価 | 1/3 | 24~29 | met | しぶんぎ群 | ** | 1/11 | 19 | ast | Olga | * | 1/24 | 26 | occ | 土星食 | ** | 2/16 | 29 | ast | Kreusa | ** | 3月 | 明 | com | C/2000 WM1 | * | 3/20 | 19 | occ | 土星食 | ** | 3/23 | 21 | ast | Whipple | * | 4/7 | 18 | ast | ポルックスの食 | ** | 5月〜6月 | 未明 | com | 7P/Pons-Winecke | * | 5/5 | 28 | ast | Scythia | * | 5/10頃 | 夕方 | pla | 5惑星集合 | *** | 6/11 | 7 | S.ecl | 日食 | *** | 6/28 | 25 | ast | Letaba | ** | 8/12~13 | 深夜以降 | met | ペルセウス座群 | *** | 10/21 | 24 | ast | Nemausa | ** | 11/17〜19 | 明 | met | しし座群 | ** | 11/18 | 28 | ast | Ghoto | * | 11/28 | 26 | JSm | 4O1P(57%) | ** | 11/28 | 27 | ast | Liguria | ** | 12/5 | 24 | ast | Alikoski | * | 12/7 | 22 | JSm | 1O4A(18%) | ** | 12/9 | 22 | JSm | 2E1P(53%) | * | 12/14〜15 | 21以降 | met | ふたご座群 | ** | 12/16 | 24 | JSm | 2E1A(64%) | ** | 12/23 | 27 | JSm | 2E1A(67%) | ** | 12/26 | 20 | ast | Blarny | * | 12/27 | 29 | JSm | 2O1A(45%) | ** | 12/30 | 29 | JSm | 2E1P(59%) | ** | 12/31 | 18 | ast | Hilda | * |
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では、評価の*印の2個以上のものをいくつかかいつまんで詳細を紹介しましょう。
1月24日の土星食は、東京−福井を結ぶ線より西側で見られます。なかなかの好条件です。
2月16日のクレウサは、大きめの小惑星による8等星の掩蔽で、中部日本で見られると予想されています。
3月20日の土星食は、今度は東京−福井を結ぶ線より北側で見られます。月が若い分だけさらに好条件です。
4月7日には、小惑星パンドラが、なんと1等星ポルックスを隠します。肉眼で観測可能ですが、見られるのは北海道南部西部の非常に狭い範囲です。
5月の上旬には、水星、金星、火星、木星、土星の5惑星が、夕方の西空に勢揃いします。
6月11日の日食は、日本南方の太平洋上(たとえばマリアナ諸島付近)で金環日食となるもので、日本からは、4割程度欠けた太陽が見られます。
6月28日のレタバは、小惑星による8等星の掩蔽で、中部日本で見られると予想されています。
ペルセウス座群は、月の影響もなく、最良の条件です。
しし座群は、去年の今年なので、一応要注意です。
ふたご座群は、上弦の月が西に低くなればOKです。
12月16日と23日には、木星の衛星イオの表面にエウロパの影が落ち「金環食」となります。はたしてイオがリング状に見えるのでしょうか? また、27日には、エウロパがイオの前面に重なってしまうという現象が起こります。かっこ内は減光の割合です。
2002年は、とりあえず、6月11日の日食です。多くの人にとっては、出勤、登校前の時間帯でしょうから、梅雨入りしてなければ楽しめるでしょう。それから、上には掲げませんでしたが、土星の輪の傾きが最も大きい(開いて見える)時期になっています。15年に一度のことですので、見ておかれてはどうでしょうか。真冬は気流が悪いので、春と秋が好期でしょう。