私が選んだ2001年の天文現象
  21世紀の最初の年の天文界はどうでしょうか。今年もめぼしい天文現象を選んでみました。
 下の表を見て下さい。「時」は、おおよその時刻でいわゆる30時制を採用しています。つまり、25hより大きい数値は翌日の早朝を意味しています。本当は、もっと正確な時刻がわかっているのですがここでは省略しています。詳しくは天文雑誌やインターネットなどの情報を参照して下さい。
「種別」の意味は以下の通りです。
 
ast --- 小惑星による恒星の掩蔽(恒星食)
com --- 彗星の観測好期
pla --- 惑星現象
L.ecl --- 月食
met --- 流星群
occ --- (月による)星食
NEO --- 特異小惑星の地球接近
 
 ast について多少補足説明をします。これは、小惑星がその背後に恒星を隠す現象で、小惑星の大きさを測定するために、近年一部で熱心に観測されているものです。通常は、小惑星より明るい恒星が対象になっているので、掩蔽がおこると恒星が減光する(あるいは消える)ように見えます。ただし、この掩蔽が見られるのは小惑星の直径程度の幅のせまいベルト上の範囲の地域に限られており、また小惑星の位置の予報の精度も悪いため、ある場所で掩蔽が観測できるかは、観測してみないとわかりません。まあ掩蔽が見られるかどうかは運次第だと考えた方がいいと思います。本当に見られる確率は10%くらいだと思って下さい。
 
 このリストは、関東地方で観測に適している現象ということで選びました。これは筆者が現在関東に住んでいるためであります。しかし、"ast"(小惑星による恒星の掩蔽)以外のものは全国で観測に適しています。
 
月/日 種別 現象 評価
1月~2月 com C/1999T1 McNaught-Hartley **
1/3 21~24 met Quadrantids **
1/9 28 L.ecl 皆既月食 ***
1/9 28 occ δ Gem ***
2/23 26 ast Iclea *
4月~5月   com 24P/Shaumasse *
4/29 25 ast Bella *
5/3 23 ast Liliana *
5月~8月   pla 火星接近 **
6/27 20 ast Camoania *
7/19 24 ast Rhodesia **
7/23 22 ast Urda ***
8/12~13   met Perseids ***
8/15 27 occ 木星食 ***
8月~10月   com 19P/Borrelly *
8/23 20 ast Proserpina *
10/1 20 ast Pariysatis *
11/18~19 met Leonids ***
12/5 23 L.ecl 部分月食 **
12/13~15   met Geminids **
12/14~16   NEO 1998WT24 **
12/28 23 ast Boliviana **
12/30 19 L.ecl 半影月食 *
 では、評価の*印の2個以上のものをいくつかかいつまんで詳細を紹介しましょう。
 
 マクノート・ハートレー彗星は、2000年12月下旬現在、7等程度になっています。これよりずっと明るくなることはあまり期待できませんが、1月から2月にかけては、7〜8等で見られるものと思われます。
 
 しぶんぎ群は1月3日夜の極大時には輻射点が昇ってきています。
 
 1月10日早朝の皆既月食は食の最後の部分を除いて全経過を見ることができます。
また、皆既の最中に3.5等星δGemが食されるという珍しい現象が見られます。
 
 火星は、6月に最接近します。梅雨入り前の気流が安定しているときに見ると細かい模様まで眺められると期待されます。
 
 7月23日の小惑星ウルダによる恒星食は、恒星が6等星と明るく観測が容易です。山陰、北陸、関東、東北地方などで、掩蔽される確率が高くなっています。
 
 ペルセウス群は、月が夜半過ぎから昇ってきますが、まずまずの条件です。
 
 8月16日早朝の木星食は夜明け前に全経過が見られます。見事な眺めとなるでしょう。
 
 しし座群は、日本で大出現するという予想も出ています。アッシャーの予想に一発を賭けるなら19日の午前3時頃となります。
 
 12月5日の部分月食は、夜半に半分くらいまでだけ月が欠けます。皆既にならないので欲求不満に陥ることでしょう。
 
 12月15日には、特異小惑星1998WT24が地球に180万kmまで接近し9等まで明るくなります。1日に天空を20度以上移動します。
 
 2001年は、大きい目玉となる現象はありませんが、皆既月食、木星食、しし座流星群は、見逃せないと思います。